日本旅行が新中計、20年販売高4400億円へ-訪日など注力
▽地方創生事業を強化、海旅はテコ入れでPT設置
新中計では、地方の活性化などの地方創生事業に関する取り組みを強化。20年の同事業の販売高目標は16年見込み比163.2%増の50億円とした。1月1日付で本社の営業企画本部に「地方創生推進本部」を、東日本、中部、西日本の各営業本部に「地方創生推進部」を設立し、中核分野に次ぐ「柱」への成長をめざす。各地方公共団体やDMOに戦略的に出向するほか、JR西日本グループ各社や越境EC事業などをおこなう他社との連携を拡大。ビックデータを活用した調査・分析事業にも取り組む。
個人旅行事業については、インターネット販売の取り組みを強化する。17年中にウェブサイト上にAIを活用した対話型の自動応答システムを設置する予定で、将来的には消費者に対し、旬の旅行情報やおすすめのツアーを提案する機能を設けたい考えだ。
また、「ウェブサイトとリアル店舗の融合」に向けて、顧客データの共有による販売促進活動などを実施するほか、店頭でVRなどを積極的に活用する。VRを活用した旅行説明会や自宅のパソコンで参加可能な旅行説明会、テレビ会議システムを活用したコンサルティングなど「いろいろアイデアはあり、検討を進めている」という。
海外旅行事業は、堀坂氏をトップとするプロジェクトチーム「海外旅行事業創造プロジェクト」を1月1日付で設立してテコ入れをはかり、「(方面などの)重点化と日本旅行なりのブランド力の強みをいかに出すかという観点で事業を展開する」(堀坂氏)。具体的には、スペイン、ベトナム、カナダ、オセアニアを重点市場として取り組みを強化。パッケージツアーに加え、需要の高い修学旅行などの団体旅行にも取り組む。マッハ・ベストツアーは20年の販売目標を40%増の400億円に設定する。
堀坂氏は会見で、あわせて「我々にしかできない交流人口の拡大を展開する」と話した。同社は1986年から国際交流イベント「ジャパンウィーク」をほぼ毎年開催しており、17年はプラハで実施する予定。同氏は政府や経済団体、日本貿易振興機構(JETRO)などにイベントをアピールし、継続的に双方向の交流促進をはかる旨を語った。
国内旅行事業ではJR各社と協力し、西日本や北陸のJRセットプランを強化。着地型体験素材を組み込んだプランの展開も進める。今年で45周年を迎えた「赤い風船」については、20年に11%増の1060億円をめざす。パッケージツアーなどの企画商品では、国内外ともに女性とシニアに注力する。新規事業では危機管理サービスの展開を促進し、24時間体制でのコールセンターも立ち上げりる。
なお、会見では堀坂氏が2016年までの現中計の進捗についてコメント。ヨーロッパでのテロ事件などで販売高は落ち込んだが、営業収益は目標の450億円を上回る452億円を見込んでいることから「満足のいく結果だった」と喜びを示した。