LHグ、新予約システムを訴求-OS復活は「需要次第」
ドイチェ ルフトハンザAG(ルフトハンザ・グループ)旅客部門の営業担当上級副社長とフランクフルト空港ハブ最高責任者を務めるイェンス・ビショフ氏はこのほど本誌の取材に応え、日本において旅行会社向けの新予約システムの導入を促進する考えを示した。同システムはLHのアンシラリーサービスや航空座席の詳細など「他の航空会社との差別化において重要な情報」を提供するほか、受給状況に応じてリアルタイムに運賃を変更する「ダイナミックプライシング」を可能にするもの。旅行会社が利用する際には、システム接続のための設備投資が必要になる。
ビショフ氏によれば、すでに欧州の大手ツアーオペレーターや旅行会社などとシステムを接続しており、日本では「いくつかの旅行会社と建設的な話をしている」という。同氏は「日本を含む全世界で、旅行会社との緊密な関係は非常に重要」と語り、「旅行会社とともに新しいビジネスモデルを作っていきたい」と意欲を述べた。
従来のGDSとの比較については「GDSは1つの販路として重要で、新システムと補完関係にある」と述べながらも「GDSのシステムでは適切に表示できない情報がある」と説明。予約クラスをアルファベット26文字で指定していることなどを「旧型のシステム」と指摘した。その上で「新システムを利用する旅行会社は、例えばダイナミックプライシングによる変動的な価格で航空券を販売できるため、他の旅行会社よりも優位になるのでは」とメリットを示した。
GDS経由の航空券販売は今後も継続するが、利用コストについては「引き続き旅行会社の方々に負担してもらう」方針。LHグループは昨年9月にGDSで航空券を発券する際の利用手数料「Distribution Cost Charge(DCC)」を設定しており、ビショフ氏は「1年が経過し、DCCシステムは市場に受け入れられていると感じている。このやり方を変えるつもりは今のところない」と語った。
今年の9月のオーストリア航空(OS)の日本路線撤退については、LHグループと共同事業パートナーの全日空(NH)が合計で日欧間を週約80便運航していること、フランクフルトやミュンヘンなどからウィーンへの乗継利便性が高いことなどを説明した上で「(経由便で)十分補完されている」と強調。OSの再就航については「ウィーン線は日本の乗客がメインだった。日本経済が回復し、欧州への需要が戻れば再考したい」と話すにとどめた。
LHが週3便で運航中の成田/フランクフルト線を17年1月9日から3月25日まで運休する理由としては、欧州のテロ事件での需要減や、欧州旅行の閑散期にあたることなどを列挙。「日本だけの動きではないし、あくまでも短期的な運休」と述べた。
そのほか、来年に予定するブリュッセル航空(SN)の完全子会社化についても言及。LHグループが今年1月から取り組んでいる経営統合の一環としておこなうもので、完全子会社化によりLHグループ内での相乗効果を高めたい考えを示した。
同グループは16年から25年までに、新たに251機の航空機を受領する予定。16年中にはエアバスA320型機を34機、A350型機を2機、A330型機を1機、ボーイングB777-300ER型機を6機、ボンバルディアCS100型機を9機受領する予定だ。