産業観光まちづくり大賞、金賞は岐阜県・神岡-日観振

 日本観光振興協会は10月24日、10回目となる「産業観光まちづくり大賞」の受賞団体を発表した。産業観光まちづくり大賞は産業遺産や稼働中の工場、工房といった資源を活用する「産業観光」の取り組みについて、他地域の模範となるような事例を表彰するもの。資源の希少性や固有性、旅行者に提供する方法の斬新さやユニークさ、誘客力、収益性などの観点で評価する。

 今回の金賞は、岐阜県の「神岡・町づくりネットワーク」。同団体は、2006年に廃線となった旧神岡鉄道のレールや駅舎、トンネルなどをできる限りそのままの形で保存した上で、据え付けた自転車でレールの上を走るアクティビティを開発。

 これが現在では全国に広まった同種のアクティビティの「はしり」となり、かつ利用者が4年で倍増し走行可能区間も増え、定休日や雪の多い冬期を除いて毎日運行することで収益も上げられていることなどを評価したという。

 また、経済産業大臣賞にはすみだ地域ブランド推進協議会と墨田区産業観光部産業経済課を選出。東京ソラマチ内で伝統工芸職人の実演コーナーなどを備える「産業観光プラザ すみだ まち処」を中心として、地場産業のブランディングや認知度の向上、販路拡大に取り組んでいる点を評価した。

 さらに、観光庁長官賞は舞鶴観光協会に贈呈。旧海軍が軍港とした横須賀、呉、佐世保の3市と共同で日本遺産指定を受けたこと、「赤れんが博物館」など「赤れんが」を軸とした地域活性化が奏功していること、戦争賛美にならないように旧海軍の文化性に着目したことなどが評価のポイントとなった。

 受賞団体は下記の通り。10月27日には、大分県日田市で開催する「全国産業観光フォーラム in 日田」で表彰式を実施する。


▽第10回「産業観光まちづくり大賞」受賞団体
(賞/団体名/所在地)
金賞/神岡・町づくりネットワーク/岐阜県
経済産業大臣賞/すみだ地域ブランド推進協議会、墨田区産業観光部産業経済課/東京都
観光庁長官賞/舞鶴観光協会/京都府
銀賞/呉市/広島県
特別賞/八戸市まちづくり文化スポーツ観光部観光課/青森県
奨励賞/加古川市/兵庫県