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Airbnbと釜石市提携、国内初-反発は「あまり心配していない」

  • 2016年10月20日

(左から)釜石市市長の野田氏、Airbnb共同創設者兼CPOのゲビア氏 Airbnbと釜石市は10月20日、観光促進に向けた提携について覚書を締結した。Airbnbが日本国内の自治体と覚書を締結するのはこれが初めて。釜石市はAirbnbとの提携を通して地域経済の活性化や観光促進などに取り組むとともに、2019年のラグビーワールドカップで試合会場の一つに選ばれていることから、宿泊キャパシティの確保策としても活用する。また、災害発生時などの非常用宿泊施設としてAirbnbのリソースを活用する可能性も盛り込んだ。

 覚書の調印式で釜石市市長の野田武則氏は、「Airbnbが有するシステムやサービス、ノウハウを最大限に活かしていただきながら、また良きパートナーとして協働しながら、釜石市を訪れる方々へ素晴らしいホスピタリティを提供できる環境や体制を整えていくことを非常に心強く感じている」と挨拶。

 その上で、「両者の連携を深めながら釜石市だけでなく三陸沿岸地域の復興を加速できるよう、当地域への来訪者の促進、地域経済の再興に向けて取り組んでいく」と意欲を語った。

 一方、Airbnb共同創設者兼CPOのジョー・ゲビア氏は、「国内外の利用者の、釜石市への訪問意欲を高められること、そしてこの地域の旅行産業の再活性化に貢献できることに興奮している」とコメント。ラグビーワールドカップについても、「創業のアイディア自体が、サンフランシスコでの会議で宿泊先を確保しにくい現実があったため」であるとし、リオオリンピックでも8万5000人以上に利用されるなど実績も十分とアピールした。

 今回の提携は、詳細をこれから詰めていく段階であるものの、まずは体験型プログラムを含めた農家民泊などのホストを募集。年内には市民向けのセミナーを開く予定だ。また、今年初開催した、地域の観光産業関係者が様々な体験プログラムを提供する交流イベント「Meetup Kamaishi」を来年3月にも開催するが、ここに民泊プログラムを導入するとともにAirbnbが集客に向けたプロモーションを実施する。

 ラグビーワールドカップの受入体制については、野田氏によると最大で約2万人から約3万人が地域内に滞在することになるが、現在では釜石市で約1000室、三陸全体でもも8000室から9000室程度しかない状態。このため、沿岸部だけでなく岩手県全体での受け入れを進めるとともに、民泊や場合によっては大型客船などの活用も検討するという。

 なお、提携が違法民泊を助長する可能性もあるが、調印式ではこうした事態への対策は示されなかった。野田氏は「法的な部分についてはまだまだ我々もちょっと勉強不足」であるとしつつ、「現時点ですでにキャパシティが少ないわけで、逆にホテルを作るといった話もあるくらいなので、私はあまり心配していない」と言及。「単に泊まるということではなく、『ホーム』を感じてもらう(ことが目的)。まったく趣旨が違う」ことを説明していきたいという。