16年上期の宿泊業倒産は15件減の29件、負債総額112.9億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、2016年上期(4月~9月)の宿泊業の倒産件数は前年から15件減の29件で、14年上期以来3年連続で減少した。負債総額は前年比35.8%減の112億9000万円、1件あたりの平均額は3億8900万円で、ともに過去20年で最も低い金額となった。東日本大震災関連の倒産は1件だった。
上期は事業整理や再編に伴う精算のための特別清算が多く、旧会社を特別清算した後に宿泊事業を新会社または他社に譲渡するケースもあった。TSRによれば、15年上期は44件中12件が旧会社を整理するための特別清算だったが、今期は5件と減少。大型ホテルや旅館の再編が減少し、小規模旅館やホテルの再編が増加しているという。このほか、先の見通しが立たない業者の中には、販売不振を原因に破産するところもあった。
大型倒産は、富山県で老舗温泉旅館「ホテルおがわ」を運営していた新川総合開発(旧社名:小川温泉)で、負債額は約23億5200万円。同社は複数の旅館を運営する愛知県の海栄館の子会社に「ホテルおがわ」の事業を譲渡している。
9月単月の宿泊業の倒産件数は4件減の6件で、負債総額は36.6%減の19億1200万円。東日本大震災関連の倒産は1件だった。負債総額が10億円以上の大型倒産は、長野県の志賀高原で「ホテルマウント志賀」を運営していた東京都新宿区の永野管理(旧社名:ホテルマウント志賀)の1件のみ。その他は長野県と新潟県、栃木県の小規模な旅館やペンションの破産だった。
なお、上期の旅行業の倒産件数は3件減の13件で、負債総額は28.7%増の14億7200万円。9月単月の倒産件数は前年並みの3件で、負債総額は45.5%減の2億1000万円だった。旅行業の詳細は別途記載(下記関連記事)。