九州、ふっこう割で150万人泊獲得めざす-EXPOでセミナー

  • 2016年10月3日

村岡氏  官民で形成する九州観光推進機構(KTPO)はこのほど開催された「ツーリズムEXPOジャパン2016」で、旅行会社向けセミナー「九州観光復興に向けて~九州観光の現状と今後の取り組みについて~」を開催し、「九州ふっこう割」を中心にKTPOの取り組みを紹介した。KTPO事業本部副本部長の村岡修治氏は「ふっこう割を展開するにあたり、改めて旅行会社に非常に頼りがいを感じた」と謝意を示すとともに、「九州はもう元気で、観光にまったく支障はない。今後も是非、旅行会社各社が持つチャネルを使って九州の現状を伝えてほしい」と呼びかけた。

 村岡氏によると、4月14日の地震発生後、九州では5月上旬までに70万件以上の国内旅行のキャンセルが発生。最も影響が大きかった修学旅行については「地震発生直後の5月と6月に熊本県などの予約が減るのは理解できるが、秋のシーズンにおいても九州全域で多数のキャンセルが出た。特に長崎県では8割がキャンセルになった」と述べ、九州全域が風評被害に悩まされている現状を説明した。風評被害対策については引き続き、ウェブサイトなどを通じて正確な情報の発信に務め、来年以降の需要回復をめざすという。

九州ふっこう割公式サイトのキャプチャ  展開中の旅行会社への助成制度「九州ふっこう割」については、政府が九州地震からの復興に向けて創設した助成プログラムによるもので、補正予算180億円が充当されていること、各県が配分された予算をもとに第1期(7月~9月)と第2期(10月~12月)に分けて旅行会社の商品造成を助成していることを説明。第1期と第2期をあわせて、計150万人泊の需要獲得をめざしていることを説明した。

 村岡氏はふっこう割の第1期を振り返り、「想定を上回る売れ行き」だったことを紹介。一方で、一部の県では宿泊券を先着順で販売したことによりアクセス過多でコンビニエンスストアの発券端末に不具合が生じたことや、宿泊予約が週末に偏ったこと、九州7県で利用者の7割を占めたことなど、問題も発生したことを伝えた。第2期ではこれらの課題を踏まえて、宿泊券は全県で抽選制に変更。また、OTAでの宿泊単品商品は平日の予約のみ受け付けるように変更し、交通付き宿泊商品の割合を増加して、県外からの宿泊者を獲得したい考えだ。

 訪日外国人旅行者向けには、7月からジェイティービーのウェブサイト「JAPANiCAN」や、エクスペディアなど海外OTA6社で商品の販売を開始した。村岡氏によれば「訪日旅行商品は国内と比べて(情報発信の面などで)苦戦しており、9月までの予約については当初に予想していた約4割しか売れていない」が、今後は関係省庁と連携して、アジア5ヶ国に向けたプロモーションを展開するという。

 なお、ふっこう割については7月下旬に観光庁が、KTPOや各県に募集型企画旅行だけではなく受注型企画旅行と手配旅行も対象に含めるよう促す事務連絡を発出したところ。第1期では予算が他県より多く割り当てられていた熊本県と大分県のみが受注型企画旅行も対象としていたが、第2期では宮崎県と鹿児島県を除く5県が受注型企画旅行を対象としていることについて、村岡氏は「今回の地震では地場の旅行会社の多くが被害を受けた。対象の範囲を拡げることで事業の支援ができれば」と期待を示した。


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