航空局、17年度概算要求は4127億円、首都圏強化など柱に
国土交通省航空局は2017年度の予算概算要求で、今年度予算比226億円増にあたる約4127億円を要求した。内訳は自動車安全特別会計の空港整備勘定収支が219億円増の4064億円で、操縦士の育成などに充てる一般会計が7億2400万円増の62億6000万円。基本方針は「首都圏空港の機能強化」「観光ビジョンの実現と地方創生のための航空ネットワークの拡大」「セキュリティ・セイフティの万全な確保」の3点とした。
東京オリンピックの円滑な開催や首都圏の国際競争力強化などに向けた「首都圏空港の機能強化」では、羽田について115億円増の613億円を要求。そのうち295億円を「新しい日本のための優先課題推進枠」として計上した。飛行経路の見直しに必要な保安施設などの整備を進めるほか、駐機場や際内トンネルの整備、空港アクセス道路の改良、A滑走路などの耐震対策を実施する。成田の要求額は2億円減の47億円で、CIQの利便性向上をはかるほか、施設の老朽化対策を進める。
訪日外国人旅行者の受入増などのための「観光ビジョンの実現と地方創生のための航空ネットワークの拡大」では、関西と伊丹に45億円減の38億円を要求し、保安施設の老朽化対策などをおこなう。中部は前年度17億円増の29億円で、同じく老朽化対策やLCC専用ターミナルのCIQの整備などに充てる。その他の一般空港などについては103億円増の922億円を計上し、福岡や那覇の滑走路増設、新千歳、福岡、那覇のターミナルエリア再編事業などを実施する。
空港経営改革の推進に向けては前年並みの6億円を要求。新千歳、稚内、函館などの道内空港や高松、福岡などについて、民間事業者への運営委託手法などに関する検討を進める。そのほか、管制空域再編などの航空路整備事業に27億円増の346億円、住宅の防音工事補助など空港周辺の環境対策事業に15億円増の36億円、離島航空事業の助成に15億円減の49億円を計上した
「セキュリティ・セイフティの万全な確保」では、2億円増の1977億円を要求した空港等維持運営費から、前年度の3億円を大幅に上回る19億円を充当。「テロに強い空港」をめざして、ボディスキャナーなどの先進的な保安検査機器の導入を促進する。
▽地方の国際線着陸料などさらに軽減、税制改正要望は到着エリア免税店
そのほか、同省は今回の概算要求で、地方空港の強化に向けて国際線などの着陸料を現行の料金からさらに引き下げる方針を示した。特に地方の国管理空港の国際線着陸料については、最大で3年間無料化する考え。一方で羽田については、機能強化を着実に推進するために国際線着陸料を引き上げるとしている。
税制改正要望では新規の要望として、日本人海外旅行者の免税品購入の需要を取り込むため、国内空港への帰着時に購入する商品も免税対象に含むよう求める。実現すれば、海外旅行者は帰国時に到着エリアで免税品の購入が可能になる。航空局によれば、到着エリアで免税品を販売している国は全世界の約3割に上る。