国内LCC4社、市場に適したサービスを模索-CAPA会議から
日本のLCC市場はさらに拡大
求められるサービスの質
国際線は訪日客の地方送客が課題に
国際線に関する議論では、4社ともに訪日需要が好調で、需要の取り込みに注力している旨を述べた。王氏は「国際線では訪日需要が大きな柱」と語り、山室氏も「日本人にはもっと海外に出てもらいたいと思うが、現時点では訪日客が主力」と現状を説明した。
片岡氏は今後の課題として「地方都市にいかに訪日客を誘導するかが重要」とコメント。政府目標として掲げる2020年の訪日外国人旅行者数4000万人に向け、地方都市と海外を直行便で結ぶだけではなく、国際線と国内線の乗継需要を喚起してゲートウェイから地方へと誘客することも重要との考えを示した。森氏もMMの国際線の乗客の7割が訪日客であることを説明し、「訪日客が増えれば国内流動も増える。今後は国内線(への乗り継ぎ)が重要になる」と話した。
これら動向について、アマデウスのヴァイスプレジデントでアジア太平洋エアライン担当を務めるテタス・シリル氏は「欧州や東南アジアでは、まずはLCC各社のブランドを市場内で確立させることが優先で、その後にインバウンド需要を取り込む傾向にある」と説明。日本市場の特殊性について「LCCで訪日客がここまで多いのは、驚きに値する」と語った。
アライアンスに期待、航空自由化への要望も
そのほかには、今年の5月にJWを含むLCC8社が国際的なLCCアライアンスとして「バリューアライアンス」を設立したことも話題に上り、山室氏は「お互いの路線を活用し、お客様に提供するネットワークを広げていきたい」と話した。同アライアンスでは共通のシステムを使用し、各社の航空券予約や決済をワンストップで可能にする取り組みを進めているところ。山室氏は「成功すれば、将来的にはその他のさまざまなLCCと連携を深化できる」と期待を示した。
片岡氏は、ジェットスターグループでも各社が同様の取り組みを進めていることを説明した上で、「バリューアライアンス」の設立を評価する姿勢を表明。「我々はアライアンスに入ることはないと思うが、3ヶ国にまたがる旅行の際に、同じ条件やブランドで航空券を購入できる機能の提供は、重要と考えている」と語った。
なお、こうしたアライアンスが設立される要因の1つには、アジア太平洋地域の航空自由化の遅れがある。王氏は「北東アジアは完全な航空自由化が実現されていないため、春秋航空の日本法人として、仕方なくIJを設立した」と説明した上で、「中国と韓国と日本は文化も近い。もっと自由にしてもよいのでは」と提案した。
一方、片岡氏は「規制をいきなり撤廃すると、安全性の懸念などの問題がある。混乱を避ける意味でも段階的な緩和が必要」とコメント。山室氏も「航空自由化は賛成だが、世界の航空会社との競争が激化する。ある程度は自国の航空会社の保護も必要」と述べた。