国内LCC4社、市場に適したサービスを模索-CAPA会議から

日本のLCC市場はさらに拡大
求められるサービスの質

サービスの追求もローコストで推進

JWの山室氏  LCCが日本市場で成功するための「サービスの質」については、各者がレベルの向上を重要視する考えを示した。山室氏は「日本人の求めるサービスレベルは高い。日本市場で成功するためには、日本人にレベルを合わせていく必要がある」と強調。森氏は同社が中国や韓国、台湾などの乗客からも「日本ならではの質の高いサービス」を期待されている旨を語るとともに、「メイド・イン・ジャパンのサービスが北東アジアのスタンダードになるのでは」と話した。

 こうした意見に対し、モデレーターを務めた東京工業大学環境・社会理工学院准教授の花岡伸也氏は「サービスの質とコストのバランスをどう取るのか」と各社に質問。森氏は「大切なことは、お客様が何を期待しているか」と回答し、FSC型のサービスにこだわるのではなく、乗客のニーズを踏まえて料金に見合ったサービスを提供していく考えを述べた。

 王氏は「客室乗務員の笑顔や、サービスに対するマインドにはコストがかからない。そういった部分を極めていくのがLCCの手法」と説明。山室氏も「豪華な食事を提供することはないが、おもてなしの精神を味わってもらうことはできる」と語った。

 一方、片岡氏は乗客のニーズを踏まえて、安価な運賃を提供し続ける重要性を強調。乗客には早めのチェックインを促して定時運航率を高めていること、LCC専用ターミナルを使用してコストを下げていることなどを説明した上で、「お客様には多めに歩いていただいたりしているが、その代わりに安価な運賃を提供している」と話した。


FSCとの棲み分けで新規需要を創出

 この日のパネルディスカッションでは、FSCとのカニバリゼーションについても議論された。片岡氏は、資本関係にある日本航空(JL)やカンタス航空(QF)と同じ路線を運航している場合があることを述べた上で、「お客様の服装を見ると、JLやQFはスーツ、GKはラフな格好で、棲み分けがされている」と説明。「就航時間や機内設備などを変えてうまく棲み分ければ、お互いにお客様を増やすことができる」と語った。

MMの森氏  森氏は、MMが全日空(NH)の持分法適用会社でありながら、独自の経営による路線展開を進めていることを説明。NHがすでに運航している関空/仙台線を開設したことについては、「NHから見ると微妙だったかもしれないが、MMの就航で同区間の総需要は増えた。NHと需要を食い合うのではなく、お客様に選択肢を与えた」との見方を示した。

 NHの100%子会社であるJWの山室氏は、成田/台北(桃園)線などでNHと競合していることについて、「NHからお客様を盗んでいるとは思わない」と主張。「安い運賃を提供することで、これまで台湾に行ったことがない人の需要を喚起している」と述べ、新たな需要を創出していることを強調した。