デング輸入症例、直近はインドネシアが最多-感染研調査
国立感染症研究所(感染研)はこのほど、海外でデング熱に感染して帰国後に発症した「輸入症例」の直近の動向をまとめ、ウェブサイトで公表した。昨年8月から今年7月までの1年間の報告を集計したもので、期間中に医師からデング熱として報告された症例の総数は342例。国別の推定感染地はインドネシアが89例で最も多く、以下はフィリピンが79例、タイが26例、ベトナムとインドが各21例、ミャンマーが13例、マレーシアが12例、カンボジアが8例、スリランカ、バングラデシュ、シンガポール、ブラジルが各7例で続いた。
感染研はあわせて、2015年の推定感染地として報告が多かった上位4ヶ国のフィリピン、インドネシア、マレーシア、タイについて、渡航者10万人あたりの月別輸入症例数を分析。フィリピンとタイは9月、インドネシアは3月と4月、マレーシアは3月と7月がピークとなり、概ね現地の流行状況を反映した結果となったという。15年の輸入症例はフィリピンが75例、インドネシアが66例、マレーシアが28例、タイが27例。
デング熱はネッタイシマカなどの蚊が媒介する感染症で、急激な発熱に加えて、発疹、頭痛、骨関節痛などを伴い、患者の一部は重症化して出血熱などを発症する。14年には約70年ぶりに国内感染の患者が発生し、東京を中心に162人の患者を確認。今年7月には、フィリピンから帰国した新潟県の女性がデング熱を発症して死亡した事例が発生しており、外務省は8月3日付で注意喚起のための広域情報を発出している。
デング熱の予防方法は蚊に刺されないようにすることのみ。外務省は流行地域への渡航を予定している人に対しては、長袖の着用や虫除け剤の使用などを呼びかけるとともに、体調の異常を感じた場合には、早期に検疫所や医療機関を受診するよう要請している。