田中副大臣、「観光先進国」に向けインフラ整備、生産性向上も
このほど国土交通副大臣に就任した田中良生氏は8月10日の記者会見で、「観光は地方創生の切り札で、年間GDP600兆円をめざす国の成長戦略の柱」と語った上で、「『観光先進国』という新たな挑戦を進めていきたい」と意欲を示した。同氏は 第3次安倍再改造内閣で就任した2人の副大臣のうちの1人で、観光、航空、港湾、都市、道路、安全・危機管理、北海道開発などを担務。今後は関係省庁との連携のもと、政府が3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の政策を推進し、2020年の訪日外国人旅行者4000万人に向けてインフラ整備を進める。
田中氏は、国土交通省が今年を「生産性革命元年」と位置づけ、国土交通行政の各分野において生産性の抜本的な向上をはかる取り組みを進めていることを紹介。こうした動きを踏まえ、観光行政では宿泊業や旅行業、通訳案内士などに関する制度の抜本的な見直しをおこない、「トップレベルの経営人材の育成や、宿泊業の生産性向上に結びつけていきたい」という。
航空行政では、20年の東京オリンピックの円滑な開催などに向けて首都圏空港の国際競争力を引き続き強化する考えを示し、「羽田の飛行経路の見直しにより、(20年までの)首都圏空港発着枠の8万回拡大を最優先課題として取り組む」と説明した。飛行経路の見直しに関しては、関係自治体と協議するとともに、「住民の理解を得られるよう、丁寧に情報共有を進めたい」と語った。
現在は全日空(NH)に傾斜配分されており、同社が今後の拡大においても傾斜配分の継続を求めている羽田の発着枠については「まずは発着便数を増やすことが一番」と強調。「安全の確保を第一にしながら、航空会社間の健全な競争を通じて利用者の利便性の向上をはかる、航空政策の基本的な考えに則って適切に進めていきたい」と語った。
このほか、田中氏はクルーズの誘客促進についても言及。外国船社の大型客船の寄港が増加している旨を説明した上で、より多くの大型客船が寄港できるよう、港湾整備を進める方針を示した。