外務省、安全対策点検チームが報告書、たびレジ登録増へ
外務省は8月2日、2015年にまとめた「『在外邦人の安全対策強化に係る検討チーム』の提言」に関する点検報告書を公表した。今年7月にバングラデシュで発生した日本人人質殺害事件を受けて設置した点検チームが、4回の会合を経て取りまとめたもので、同日中に座長を務めた外務大臣政務官の濱地雅一氏が外務大臣の岸田文雄氏に手交。報告書では自衛能力の低い短期旅行者や中小企業関係者などを中心に対策を強化する必要性を示しており、短期旅行者については18年夏を目途に「たびレジ」の累計登録者数240万人をめざすとした。
報告書では、提言で示した「日本人がテロの標的とされ得る」などの基本認識について「現在も有効」と述べた上で、「一層懸念すべき傾向が見られる」と指摘。しかし「国内に閉じこもることが対策ではない」とも述べ、在外邦人がテロの被害に遭わないようにするために「安全対策意識の向上と対応能力強化」「国民への適時適切かつ効果的な情報伝達」「体制整備」に取り組む必要がある旨を示した。
短期旅行者向けの対策としては、外務省や在外公館が「たびレジ」やソーシャルメディアを活用して情報発信を強化し、旅行者と直接連絡できる体制を強化する考え。提言では「たびレジ」について、18年6月を目途に累計登録者を150万人に拡大する目標を示していたが、近年の動向などを踏まえて目標を240万人に設定し直した。
登録促進に向けては、旅行会社とのデータ連携による自動登録サービスの促進や、国内空港などでの広報活動、旅行ガイドへの広告掲載などをおこなう考え。自動登録サービスについてはすでにエイチ・アイ・エス(HIS)やDeNAトラベルとの連携を開始しているが、今後も拡大に努める。また、試験運用中のパスポート用ダウンロード申請書とのデータ連携のほか、「たびレジ」の登録者増に向けた旅行保険業界との連携なども検討するとした。
そのほか、短期旅行者については国内の旅行業者を通さず、現地の旅行業者の手配で海外旅行をおこなう場合もあることから、現地の旅行会社と在外公館の間における情報交換や連絡、協議を進めることも提案した。
外務省は今後、提言および点検報告書に基づき必要な対策を進める方針。「報告書の内容を着実に実施し、国際テロ情勢の変化に応じて、在外邦人の安全確保のための努力を継続する」としている。