南ア、2ケタ増の勢いで9月から新キャンペ、直行チャーター計画も
南アフリカ観光局は7月6日と8日、大阪と東京で旅行業界を対象にワークショップを開催し、現地ホテルや手配会社、観光局など30社以上が来日した。オープニングセレモニーには、来日した南アフリカ共和国観光副大臣のトコジレ・カーサ氏と、駐日特命全権大使のベリル・ローズ・シスル氏も臨席。共同インタビューにも応じた。
カーサ氏は観光産業がGDPの9%を占める重要な産業であり、国の成長戦略のなかでも最も焦点を当てた拡大策を立て、多様な魅力を有する観光商品の開発と発信に力を入れていることを説明。「南アフリカには日本人を感動させるさまざまな観光スポットがある。そして安全な旅行も保証する。すべての日本人を温かく迎える準備ができている」と述べ、日本市場を重視する姿勢を強調した。
南アフリカ観光局アジア太平洋地域プレジデントのブラッドリー・ブラウワー氏は日本市場の動向について、14年以降はエボラ出血熱の風評被害を受けたが、15年11月から回復傾向に転じ、今年1月からは4ヶ月連続で前年比2桁成長で推移していることを説明した。また、円高傾向を受けて「南アフリカへ旅行するチャンス」と述べるとともに、今年は観光局としてもプロモーションに力を入れる重要な年であることをアピールした。
さらなる旅行者獲得に向け、16年9月から開始するグローバルキャンペーン「WOW IN EVERY MOMENT」では、南アフリカの様々な観光素材を6つの柱で促進。「シーニック・アウトドアーズ」「サファリ・ワイルドライフ」「歴史・遺産・文化」「街・ライフスタイル」「ビーチ・沿岸アクティビティ」「アドベンチャー」をテーマに、魅力の多様さをアピールする。
特に日本市場では、人気がケープタウンやゲームサファリなどに集中していることから、キャンペーンを通じてツアーのバラエティを拡大したい考え。自然の動植物や景観、歴史・文化を好む傾向の強い日本人の嗜好にあわせながら、新しい素材を紹介する予定だ。
ただし、9月の「ツーリズムEXPOジャパン2016」については、今年は参加を見送った。昨年に日本人旅行者数の減少を受けて予算配分が変更されたのが理由。ブラウワー氏は「数字を回復させることに力を入れる」とし、例えば一般消費者向けには「旅サラダ」などのテレビ番組やメディア露出を継続。業界向けには今回のワークショップをはじめとするパートナー向けの施策を強めていくとした。
▽全ビジネスクラスのチャーター便の動きも
このほか、南アフリカ/日本間の航空路線についても、「長年の課題」(ブラウワー氏)として認識。チャーターをはじめ誘致に力を入れているが、ブラウワー氏はビジネスクラス92席のみのボーイングB767型機を使用したチャーター便の計画があることを明かした。ヨハネスブルクを拠点とするオペレーターのアムロツーリズム(Amrho Tourism)によるもので、同社は今回のワークショップにも出展した。
来日したオペレーションマネージャーのネシール・イスメイル氏によると、同社は機材とパイロットを有しており、南アフリカ国内でチャーターフライトを運航。過去には国際・国内線の定期便も運航していた。今回は、日本/南アフリカ間の直行便(モルディブで給油あり)とする計画だ。全ビジネスクラスの機材でのチャーター便はオーストラリアや英国で運航した経験があるが、東アジアでの展開は今回が初めてのこと。
日本人向けの人気ツアー素材であるジャカランダの花期で、フライト座席の供給が間に合わなくなるという2016年10月と11月に、各旅行会社のツアーの共同チャーターとしての実現をめざしており、イスメイル氏はワークショップ会場での旅行会社の反応に手ごたえを感じているという。