15年度の海外事故発生率は3.6%、テロで取消費が増加

  • 2016年7月7日

 ジェイアイ傷害火災保険が7月6日に発表した「2015年度海外旅行保険事故データ」によれば、15年度の事故発生率は前年比0.07%増の3.6%で、計算上は28人に1人が何らかの事故に遭遇したかたちとなった。調査は1996年からおこなっており今回で21回目。事故の件数については開示していない。

 最も件数が多かったのは、怪我や疾病の治療費用や搬送費用などを補償する「治療・救援費用」で、昨年から3.1ポイント増加し、全体の49.0%を占めた。以下は手荷物を補償する「携行品損害」が2.4ポイント減の32.5%、偶然の事故を補償する「旅行事故緊急費用」が2.6ポイント減の13.9%で続いた。上位3位で全体の95.4%を占めており、順位は06年以降変わっていない。15年度はこれらに加えて、旅行取消料などを補償する「旅行キャンセル費用」がパリのテロ事件などの影響で増加した。

 地域別では、欧州は「携行品損害」、アジアやオセアニアは「治療・救援費用」、グアムとサイパンは「旅行事故緊急費用」の割合が高かった。アジアは「治療・救援費用」が77.3%と8割近くを占めており、同社では衛生環境が悪い地域が多く、気候も日本と大きく異なることから、腹痛や風邪などが発生しやすいと説明している。

 治療・救援費用の保険金支払いが1000万円以上を超えたケースは11件。最も高額だったのはアメリカでの事案で、心不全と診断された65歳以上のシニアに対し、入院費用などに2347万円を支払った。300万円以上のケースは前年から5件増の77件で、円安や医療費の上昇などにより増加した。内訳は、64歳以下が57%で、65歳以上のシニア層は43%。シニア層の高額費用発生率は65歳未満の約4倍だった。

 同社では海外旅行での事故予防のため、16年4月からさまざまなリスクへの対策を記載した「みんな安心BOOK」の提供を開始。旅行会社を通じて旅行者に配布するほか、同社のウェブサイトにPDF版を掲載している。