大分・豊後大野市の逆襲 地域素材を商品化(1)
大分県豊後大野市が本格的に観光客の誘致に取り組んでいる。2014年に設立した一般社団法人ぶんご大野里の旅公社を中心に、市内観光素材の商品化に乗り出した。原尻の滝、市内に点在する磨崖仏にスポットを当てている。
同市は県南部に位置し人口3万6千人。大分県が掲げる「日本一のおんせん県おおいた」の中にあって、市内には著名な温泉地はない。観光スポットとして知られているのは、東洋のナイアガラと称される幅120メートル、高さ20メートルの原尻の滝ぐらいだ。
一方で、市内には数多くの磨崖仏が残る。もともと大分県は仏教文化が栄え、阿蘇の溶結凝灰岩など柔らかい岩盤が露出しており石仏が多い。岩盤に直接彫られた磨崖仏は県内に約400体あり全国の磨崖仏の8割に達する。その中にあって豊後大野市の普光寺磨崖仏は県内最大。本堂境内から谷を挟んで3体の磨崖仏と2つの洞窟を遠望でき、谷を降りて間近に見ることも可能だ。その大きさと迫力は見る者を圧倒する。瑞光庵磨崖仏は、見る角度によって形相が変わり、どことなくユーモラスな表情が心を和ませる。菅尾磨崖仏、犬飼石仏、大迫磨崖仏なども見ごたえがある。
また、橋も市内の見どころの一つ。JR豊肥本線の百枝鉄橋は、断崖を貫く百枝トンネルと連続する鉄橋で、写真撮影に興じる鉄道ファンの人気のスポット。奥嶽川と轟川の合流ポイント近くに架かる轟橋と出合橋は美しいアーチ式の石橋。轟橋は長さ68.6メートルで、支柱から支柱までの距離が32.1メートルで日本一長い。出合橋は長さ32.3メートルで支柱間の距離は29.3メートルで日本第2位。日本ワン・ツーの2橋を並列して見ることができる川岸からの景観は必見だ。
(16/07/07)
情報提供:トラベルニュース社