米国とJATA、IPWで会合、連携で教育プログラムなど強化

  • 2016年6月21日

JATAとブランドUSAのミーティングの出席者 (ニューオーリンズ発:本誌 人長紘子)米国のルイジアナ州ニューオリンズで現地時間6月20日、USトラベル・アソシエーション(USTA)が主催する旅行商談会「インターナショナルパウワウ(IPW)」が開幕した。同日には日本旅行業協会(JATA)と米国の観光プロモーションを担うブランドUSAが会合を開き、両者は今後も訪米日本人旅行者数の増加に向け連携を強化することを確認した。

 USTAプレジデント兼CEOのロジャー・ダウ氏は冒頭、日本市場について「海外からの訪問者数では2位を維持しており、重要なマーケット」と強調。ブランドUSAプレジデント兼CEOのクリストファー・L・トンプソン氏も「2015年の日本人旅行者数は前年比4%増(約376万人。暫定値)で推移している。今後もJATAとの連携を継続していきたい」と意欲を示した。

 JATA日本・アメリカ旅行促進部会座長を務めるジェイティービー(JTB)グループ本社主幹国際部長の古澤徹氏は会合で、日本人旅行者の約7割が旅行会社を利用していることを説明。訪米日本人旅行者数を増加させるためには「旅行会社スタッフを米国のファンにすることで、消費者にも米国の魅力を伝えることができる」と話し、昨年に引き続き、旅行会社への教育プログラムの強化について連携していきたい考えを示した。

 これに対し、ブランドUSAのチーフ・マーケティング・オフィサーを務めるトーマス・ガジリ氏は「(需要喚起に向けて)日本の旅行会社への教育プログラムを強化する必要がある」と賛同。グローバル・トレード開発担当ヴァイスプレジデントのキャシー・ドマニコ氏は、IPWの開催にあわせて旅行業界向けに新たなデジタルツールキットの提供を開始したことを紹介した。

 同キットは各地のモデルルートや写真、ビデオ、地図などを提供するもので、ブランドUSAの公式サイト上でダウンロードできる。ドマニコ氏は「日本の旅行会社は米国に常に興味を持ってくれている。主要なゲートウェイなどはすでに知られているので、今後は知名度の低いデスティネーションを紹介していく」と説明した。

▽若年層への注力を確認、事前入国審査への期待も

 古澤氏は、現在の日本市場の問題点として「日頃から米国のニュースはよくメディアで取り上げられているものの、若年層が海外旅行のデスティネーションとしてそれほど認識していない」と説明。認識してもらうためには「日本の旅行会社が米国をしっかりと理解し、工夫することが必要」と述べ、ブランドUSAがこれまで英国などを対象におこなってきた「メガFAMツアー」について「ぜひ日本に対しても実施してほしい」と訴えた。

 これに対してガジリ氏は、「ブランドUSAの目的は米国旅行の需要喚起。そのために若年層への注力は必要」と強調。ブランドUSAが5月に日本での上映を開始した、米国の国立公園をテーマとする映画「アメリカ・ワイルド」については、鑑賞者のうち約8割が「米国旅行に興味をもった」と回答していることから「少しは需要喚起につながったのでは」との見方を示した。

メディア向け商談会のテープカットの様子 古澤氏はそのほか、米国の国土安全保障省(DHS)が昨年に発表した、成田空港への事前入国審査導入計画について発言。「もし導入されれば、間違いなく日本からの旅行者は増加する」と期待を示し、「いきなり全便に適用するのではなく、開始当初は成田からのチャーター便に限定するなど、段階的に進めることもできる」と提案した。

 USTAによれば、今年のIPWには70ヶ国以上からバイヤーやサプライヤーなど約6000名が参加。日本からは約80名が参加しているという。商談会は22日まで開催する。

※訂正案内(編集部 2016年6月22日 15時00分)
古澤氏のJTBグループにおける役職を追記しました。