豪州、座席増追い風に、持続可能な回復めざす
1月~3月で日本人3割増
回復へ「ラストチャンス」の覚悟求める声も
▽ニュー・サウス・ウェールズ州
州政府観光局の新堀治彦氏によると、QFとNHの羽田線だけでなくJLの成田線も好調といい、各社と共同で需要喚起に取り組んでいる。
今後のプロモーションでは、ビビッド・シドニーの会期が18日間であったところから23日間に増えており、「光と音とアイディアの祭典として世界に誇れる規模となってきている」ことから目玉として誘客を強化。また、イベント関連ではシドニーマラソンやハンダ・オペラ・オン・シドニー・ハーバー、シドニー・ロイヤル・イースター・ショーなどにも注目を集めたい考え。
さらに、シドニー以外の地域への誘客では、ブルーマウンテンズやハンターバレー、ポートスティーブンスなどの地域に加え、バイロンベイやコフスハーバー、ポートマッコーリーなどの地域も紹介していきたいという。
▽ビクトリア州
ビクトリア州政府観光局の高森健司氏によると、14年就航のJQのメルボルン線が市場に根付いてきており、さらにFSCの増便もあって15年の日本人訪問者数は12%増の4万6600名。16年は4万8000人から4万9000人を目標に掲げる。
大きな変化として局の組織改編が決定しており、観光局とコンベンションビューロー、スペシャルイベント誘致団体の3組織を統合。正式には7月1日からで、英語名は「Visit Victoria」。日本市場での体制に変化はないものの「インセンティブなどにも力を入れていきたい」という。
また、高森氏は「第2、第3の直行便」に意欲的で、そのためにも錦織圭選手の活躍で観戦者が毎年増えている全豪オープンやメルボルンマラソン、メルボルンカップの知名度も高めていきたい考えだ。このほか、新ホテル「QT」の9月のオープンやフィリップ島に完成した新しいペンギンパレード用観覧テラスなども紹介。周遊や泊数増にも継続的に取り組む。
▽西オーストラリア州
現在、パース周辺で大規模な再開発が進んでおり、18年までに14年比でホテル客室が2000室増える計画。16年にも500室のクラウンタワーズ・パースなどの開業が予定されている。また、6万人収容のスタジアムや空港アクセス鉄道の建設、パース駅とバスターミナルの地下化なども予定。スタジアムは18年に稼働予定で、サッカーなど国際スポーツイベントなども誘致可能となる。
州政府観光局の吉澤英樹氏によると、15年の日本人訪問者数は精査中だが回復傾向は間違いなく、「QFのパース線がなくなった2011年当時の数字に、直行便なしで達する」勢い。今後も東南アジアや中国の航空会社と協力しつつ、18年までの直行便復活もめざして活動を展開する。
また、ツアーについてはワイルドフラワー期間中にウェーブロックやマーガレットリバーなどの地域を訪れるコースが増えてきているほか、パースの街歩きツアーも提案。さらに、第2のウユニ塩湖としてブルームを打ち出すアイディアも、東京と大阪、福岡からのツアーが実現しており今後も市場への浸透をはかる。
このほか、教育旅行もスーパーサイエンスハイスクールとスーパーグローバルハイスクールに絞って誘致をしてきたところ、少しずつ成果に結びついてきているという。