国交省、バス事故受け取引実態調査、4割が「安全の説明なし」
国土交通省は4月26日に開催した「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」の第8回会合で、このほど旅行会社と貸切バス事業者を対象に実施した取引事例調査の結果を明らかにした。それによると9割以上の旅行会社が契約に際し、バス事業者から運送引受書の交付を受けている一方で、安全運行の取り組みに関して説明を受けている旅行会社は6割程度にとどまった。観光庁はこの結果について「旅行会社にも責任があることなので、積極的に説明を受けるようにしてほしい」とコメントしている。
同調査は2月から3月にかけて、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)に加盟しバスツアーを取り扱う旅行会社250社と、貸切バス事業者1035社を対象に実施したもの。旅行会社と貸切バス事業者の契約の文書化、両者の連携による安全運行、運賃など金銭にかかわる契約などの実態について調査した。
旅行会社250社は全社が回答。そのうち貸切バス事業者から運送引受書の交付を「受けている」と回答したのは92.8%で、4.0%が「受けていない」と回答した。届出の範囲内の適正な運賃・料金であることの確認については、「上限額・下限額の説明を受ける」が42.8%、「自社で計算」が9.2%「双方で確認」が34.8%を占め、9割近くが何らかの形で確認していたものの、11.2%は「確認していない」と回答した。
「届出の範囲内の運賃・料金を支払っていない場合の理由」については19社が回答。内訳は「貸切バス事業者からの提示」が11社で、「集客のため(旅行会社から)バス事業者に依頼」が8社だった。手数料率については「10~20%」が最も多く72.4%を占めたほか、0.4%が「10~30%」、0.8%が「0%」と回答。未回答は26.4%に上った。
安全運行の取り組みに関するバス事業者からの説明については、62.4%が「受けている」と回答。31.6%が「受けていない」と応えた。
貸切バス事業者は77.7%にあたる804社が回答。そのうちの80%が旅行会社との契約に関して、届出の範囲内の運賃・料金で契約し収受できていると回答したが、12%は届出の範囲内で収受できていないと回答した。