ハウステンボス、ロボット活用で「生産性世界一に」

  • 2016年4月21日

(左から)ハウステンボスの澤田氏、富田氏  ハウステンボス(HTB)代表取締役社長の澤田秀雄氏は4月21日に開催した記者会見で、同社が7月16日に園内にオープンするロボットをテーマにした複合施設「ロボットの王国」について触れ、「(ロボットを積極に活用することで)3、4年かけて、世界で最も進んだ生産性の高いテーマパークを作っていきたい」と意気込みを述べた。14日夜から熊本などで発生している一連の地震の影響もあるが、同王国の開業などで、今夏は前年比1割から2割増の訪問者数をめざす。

会見には3体のロボットが参加。(右から)会話や踊りなどをする「Palmi(パルミ)」、「変なレストラン」でイベント紹介などをおこなう「Tapia(タピア)」、ダンスを踊ってくれる「プリメイドAI」 「ロボットの王国」はハウステンボスにとって6つ目の「王国」。澤田氏は、エンターテイメント施設である同王国にロボットを導入することで、サービスの質や顧客の「感動レベル」を維持したまま作業の効率化をはかりたい考えを示した。過去の成功例としては、昨年7月に園内で開業したロボットを導入した「変なホテル」を挙げ、開業当初は30人弱だった従業員を、3月には12人にまで減らしたことを紹介。今年の3月15日には第2棟を開業し、客室数を72室から倍の144室まで増やしたが、従業員数は変更しておらず「将来的には9人程度になる」と語った。ただし、ハウステンボスの従業員の総数を減らすわけではなく、「人には技術開発や創造的な仕事をおこなってもらう」という。

搭乗型ロボットに乗り、銃を撃ちあうアトラクションも用意  加えて、澤田氏はロボット関連企業と協力し、ハウステンボス内でロボットの実証実験を積極的におこなっていく方針を示した。同氏は、ハウステンボスはモナコ公国と同程度の広大な私有地であることを説明し、「安全面を除けば規制は少なく、すぐにさまざまな実証実験が可能」とアピール。「ロボットの王国で使われる技術が世界的に使われるようにし、メーカーなどと組んで新しいビジネスを展開していきたい」と意欲を示した。HTB経営顧問兼CTO(最高技術責任者)の富田直美氏も、消費者に入園料を支払ってロボット技術を体験してもらい、感想や意見を集めることで、メーカーの商品開発などに活かせる旨を説明。ロボット産業の発展に寄与していきたいとの考えを示した。

 澤田氏は2010年のハウステンボスの買収からこれまでを振り返り、「5年間はずっと2桁増の増収増益だった。昨年は100億円弱の営業利益があり、再建・再生はほぼ終わった」と説明。「5年前から『ハウステンボスを観光ビジネス都市にする』という話はしていたが、いよいよ今年から本格的にめざす」と語り、100億円弱の利益については「ロボットや新エネルギー、世界一生産性の高い植物工場の建設の準備などに資産を投入し、世界最先端の未来都市、観光都市を作っていきたい」とした。観光ビジネス都市の実現には3年から5年程度かかるという。

変なレストラン(イメージ)  このほか、会見では「ロボットの王国」について説明。すでに開業している「変なホテル」に加え、体験型ミュージアム「ロボットの館」、ロボットが運営するビュッフェレストラン「変なレストラン」を紹介した。「ロボットの館」では、ロボットショーの見学コーナー、ロボットに試乗できるコーナー、国内外のロボットを購入できるコーナーや企業ブースなどを用意。入り口には、映画「THE NEXT GENERATIONパトレイバー」に登場した全長9メートルのロボットを展示する。4月29日から5月5日まではプレオープンもおこなうという。

 「変なレストラン」では、ロボットのシェフがお好み焼きやカクテルを作るほか、顧客の誘導、使用済みの皿などの片付けなども担当。客席には園内のイベント紹介などをおこなうロボットも配置する。