スカイマーク、再建に向け新中計、国際線チャーターに意欲
スカイマーク(BC)は3月28日、国土交通省内で記者会見を開催し、同日付で東京地方裁判所から民事再生手続の終結決定を受けたことを報告するとともに、2016年度から3ヶ年の中期経営計画を発表した。最終年度の売上高として800億円超、営業利益は70億円超を目標に掲げる。代表取締役会長の佐山展生氏は「まだ右肩上がりの目標を掲げる状況にはないが、ここまでは行くだろう」との見方を示し、代表取締役社長の市江正彦氏は18年度にも国際線のチャーター便を運航したい考えを示した。
BCは新たな中計期間においては、安全運航や定時運航の徹底、欠航や遅延の最少化、機材稼働率の向上、「シンプルかつ他社にはできないサービス」の提供、利用者および社員の満足度向上などに重きを置く考え。佐山氏によれば当初の予定通り「5年以内の上場」もめざし「3年や4年以内もあり得る」という。
市江氏は初年度である16年度は足場を固め、17年度は将来の新たな計画を練るとともに、最終の18年度にはチャーター便で国際線にも進出したい考えを明示。候補となる方面については、現在使用しているボーイングB737-800型機の航続距離から「東アジアや東南アジアの一部、グアムやサイパンなど」を挙げた。国内線のネットワーク拡充に向けては、茨城空港や神戸空港を活用するとともに「仙台や米子、熊本など、撤退した路線のどこを復活させるか」がポイントになるとした。
なお、同社の15年度の売上高については700億円超となり、営業利益は15億円超で黒字に転じる見通し。同社は13年度から2期連続で赤字を計上し、14年度については売上高809億円、営業損失170億円を計上していたが、今年度は5月以降については搭乗率が12年度以降最高の水準で推移し、今年2月については11年度の搭乗率をも上回ったという。なお、営業利益のうち10億円以上は、燃油費の減少によるものという。
そのほか、佐山氏は羽田/新千歳、福岡線などの主要路線を除く路線で検討していた全日空(NH)とのコードシェアについて言及し、独立性維持の観点から引き続きNHの予約システムには入る意志がないことを明言した。同氏は「コードシェアの必要がないくらい業績が回復している」ことを説明した上で、両社のシステムの間にインターフェースを挟むことを前提とする考えを強調。その上で「我々はいつでも歓迎している」と語った。なお、両社が合意した場合でも、16年冬ダイヤからの開始は難しいと見られている。
昨年1月に開始を申し立てた民事再生手続については、確定債権総額約1543億円に対して約161億円の弁済を実施し、すべての再生債権の弁済が完了する見通しとなったことを報告した。1年余りで手続きを終えたことになる。