草津温泉、訪日客の取込強化、DMO候補法人の申請も
草津温泉観光協会の会長を務める中沢ヴィレッジ代表取締役会長の中澤敬氏は、このほど本誌のインタビューに応じ、東京オリンピック大会が開催される2020年までに、草津町への総観光入込客数に占める訪日外国人旅行者の割合を10%にまで引き上げたい方針を示した。今後は観光庁が登録を呼びかける日本版DMO候補法人の申請をおこなうなど、訪日外国人旅行者の取り込みを強化する。中澤氏は「すでに草津町や草津温泉旅館共同組合と連携を開始し、候補法人となるための組織編成はできている」と述べ、登録後は政府の方針に沿って早急にマーケティングを開始したい旨を説明した。
中澤氏によると、15年の草津町の観光入込客数は前年比5.5%増の296万人で、このうち訪日外国人旅行者は1%の3万人程度。ただし、正確な統計が取れていないことから「実際には、その倍以上の外国人旅行者が訪問しているのでは」という。同氏は「日本の定住人口は減少している。温泉地として国内トップの規模を維持していくためには、移動人口である訪日外国人旅行者の取り込みが喫緊の課題」と強調し、今後は特に取り込みが遅れている欧米からの旅行者の需要を開拓していきたい考えを示した。
草津温泉エリアにおける訪日外国人旅行者の獲得に向けた取り組みの歴史は長く、05年頃に同協会は、草津町、草津温泉旅館共同組合、民間企業と共同で台湾、韓国、オーストラリア、ハワイなどにセールスミッションを派遣。しかし「当時は観光庁もできておらず、プロモーションを開始するには早すぎた」ことなどから、4年間ほどで活動を終了したという。
これまでのマーケティングについて中澤氏は「経験や勘に頼ってきた」と説明。「しかし今の時代は、しっかりとしたデータがないと周囲を説得できない」との考えから、今後は事業において達成度を計るための定量的目標を定めた上で、PDCAサイクルによる業務改善などに努めたいとした。
また、同氏は「インターネット上の評判の影響はとても大きく、各種ウェブサイトの情報をもとに旅行する方は多い」と強調。現在は日本語、韓国語、英語、中国語繁体字・簡体字で展開している同協会の公式サイト「湯Love草津」を、今後はフランス語やドイツ語などにも対応させる考えを示した。