KNT-CT、15年は売上微減も各利益改善、国内個人が堅調

  • 2016年2月14日

KNT-CT社長の戸川和良氏  KNT-CTホールディングス(KNT-CT)の2015年12月期通期(2015年1月1日~12月31日)連結業績で、売上高は前年比2.0%減の4249億3000万円、営業利益は前年度の89.3%増の63億9400万円、経常利益は62.7%増の66億6800万円となり、当期純利益は12億5400万円の赤字から43億4000万の黒字に転じた。テロ事件や円安、燃油サーチャージ徴収額の減少などにより海外旅行が低迷した結果、売上高は7月に発表した予想を下回ったものの、例年に比べて天災や為替による影響が少なかったことなどから売上総利益率が向上。各利益が予想を上回る改善を見せた。

 2月12日に開催した決算発表会見で同社代表取締役社長の戸川和良氏は、「利益ベースでは非常に良くなった。牽引しているクラブツーリズムも自然災害などを免れてそれなりの業績を残した」と説明。そのほか「コスト削減もかなり進んだ」と振り返った。

 事業分野別では、近畿日本ツーリスト個人旅行やクラブツーリズム、訪日旅行などからなる個人旅行事業は、売上高が2.0%減の2457億500万円、営業利益が122.8%増の36億8600万円となった。売上高については、国内は北陸新幹線の開業など観光素材に恵まれ堅調だったものの、海外の減少傾向が著しかったことから減少。一方で各種経費の節減などが奏功し、営業利益は前期を大きく上回った。

 このうち訪日旅行の売上高は約140億円。戸川氏は「現状ではアジアなどからの旅行者をうまく取り込めていないが、クラブツーリズムのバスツアーなどは大きく伸びている」と報告するとともに、今後もKNT-CTの「訪日FITセンター」が中心となって海外の旅行会社との連携を拡大し、業務拡大に務める考えを示した。18年度の売上高は300億円、20年度は500億円をめざすという。

 近畿日本ツーリストによる団体旅行事業は、売上高が3.9%減の1014億9000万円、営業利益が0.6%減の17億6600万円となった。大都市における法人や団体などへの提案型営業に注力し、MICE市場の掘り起こしに努めたものの、前年の冬季オリンピックやサッカーのワールドカップなど大型イベントの反動減により、売上高・営業利益ともに減少した。「その他」の事業は売上高が0.8%増の774億7100万円、営業利益が42.2%増の5億9200万円となった

 なお、同社と一部を除くグループ会社は16年度から決算期を12月31日から3月31日に変更する予定。16年3月期は経過年度となることから、16年1月1日から3月31日までの3ヶ月間の数値として、売上高890億円、営業損失35億円、経常損失34億5000万円、当期純損失25億円を予想する。対前年比については発表していない。