トップインタビュー:トルコ大使館文化広報参事官室のカラクシュ氏

トルコは「平和を求める観光立国」
日本市場にさらなる魅力を紹介

 トルコ大使館文化広報参事官室の日本担当ディレクターを務めるアリ・カラクシュ氏はこのほど本誌のインタビューに応え、改めてトルコ観光の安全性をアピールした。同国を訪れる日本人旅行者数は2015年に入り、イスラム教過激派組織のISILによる影響などで急減。しかし同氏は「トルコや近隣国に関する報道には間違ったニュースも多い」と述べ、シリア難民の流入についても「治安面の問題は顕在化していない」と強調する。首都のアンカラやイスタンブールなどで爆弾テロ事件が発生するなど、憂慮すべきニュースも報じられるなか、同国の観光の現況や今後の展望についてお話を伺った。インタビューは昨年の年末におこなった。


トルコ観光にとって、15年はどんな年でしたか

カラクシュ氏(以下敬称略) トルコの南方に(シリア問題などの)懸案事項があることは確かで、15年の日本人旅行者数は14年の17万3000人から大幅に減少し、12万人程度にまで落ち込む見通しだ。トルコの近隣国はさまざまな問題を抱えている。しかし我が国は平和を求めて観光を推進している観光立国であり、14年には世界で第6位となる3700万人もの外国人旅行者を受け入れた。日本の旅行愛好家には是非ともそのことをお伝えしたい。

 しかし、グローバルメディアによって近隣国の情勢はとてもネガティブに報道されている。それに関連してトルコも、過剰にネガティブに伝えられる傾向がある。残念ながら日本のメディアもそのような報道のスタイルに影響を受けていると思うが、事実はそうではない。日本の旅行者にとっては、偏ったニュースに踊らされることなく、トルコの真の姿を分かっていただくことが最も大切だと考えている。


日本での報道がグローバルメディアの影響を受けている、とは

カラクシュ トルコに対して誤ったイメージを植えつけるような、誇張された報道が多い。ISILはトルコと敵対している集団なのに、まるでトルコがISILと結託しているかのような報道まで散見されている。15年はアンカラなどでテロ事件が発生したが、これらについてもトルコがISILと協力して仕組んだような論調がある。信じられない誇張で、これ以上の嘘はないと思う。


15年の活動において注力したことは

カラクシュ 13年にトルコの観光振興のためのワーキンググループを立ち上げた日本旅行業協会(JATA)とは、15年も協力を続けて、さまざまなプロモーション活動をおこなってきた。11月上旬には、重点地域としている西地中海地方と南エーゲ海地方へのファムツアーを実施した。

 参加者の皆さんは、出発前には治安に関して不安があったと聞いたが、トルコに入国してからは「何が危ないのか」と仰るほど印象も変わり、非常に有意義な視察旅行になったと聞いている。参加者によるレポートは、近日中にJATAのウェブサイトに掲載される予定だ(※今月から掲載済み)。トルコのサービスレベルの高さも、高評価につながったと思う。