跡見女子大とJATA関東、「本音の」意見交換会開催
跡見学園女子大学と日本旅行業協会(JATA)関東支部はこのほど、同大学の文京キャンパスで「旅行業界への就職!女子大生本音の意見交換会」を開催した。学生が考える「旅行の魅力」と実際の「旅行業界の現状」のギャップを埋めることを目的に、同大学観光コミュニティ学部准教授の篠原靖氏が企画したもので、観光を学ぶ同大学の学生約100名と、JATA会員の旅行会社10社が出席。跡見女子大学観光コミュニティ学部学部長の小川功氏は「旅行業界の第一線でご活躍している方々をお迎えして、本音ベースでお話ができる。誠に時を得たもの」とコメントした。
同大学によると、近年の観光学を専攻する学生は、旅行業界への就職をめざして入学するものの、卒業時に旅行業界への就職を希望する学生は、入学時に比べて激減する傾向がある。14年度に卒業した同大学のマネジメント学部観光マネジメント学科(当時)の学生のうち、実際に旅行業界へ就職した学生は全体の3.4%のみだったという。
意見交換会は、第1部「そこが聞きたい旅行会社の仕組み」と、第2部「旅行業界10社と女子大生の本音トーク!」の2部構成で開催。第1部では、参加した旅行会社が各社の概要を紹介したほか、商品造成や販売など各部門の業務内容を説明した。商品造成については、販売スタッフが商品を売りやすいよう全方面のパンフレットのレイアウトを同じにしていること、販売にあたってはインターネット経由の販売が増加し、紙のパンフレットを用いた販売が減少しているため、対面ならではの旅行の価値の提供が必要であることなどを話した。
第2部ではまず、学生が旅行会社に質問をおこなった。「OG訪問をした際に、低賃金と長時間労働のため『仕事と家庭の両立は難しい』と聞いたが実際はどうか」という質問に対して、日本旅行東日本営業本部個人旅行営業部マネージャーの佐藤みゆき氏が、近年は労働環境が整備されている旨を説明。同氏は「自分の経験からも、プライベートが充実していないと仕事は上手くいかない。両立できないということはない」と答えた。
旅行業界で求めている人材を問う質問については、京王観光旅行事業部部長の谷川透氏が「おもてなしの心を持って接客ができる人」と回答。顧客に旅行会社を好きになってもらうためには、旅行会社で働くスタッフ自身が顧客を好きになる必要があるとし、「旅行に関する専門知識はその次で大丈夫」と話した。
旅行会社から学生に対する質問の「最近は若者の旅行離れが課題となっているが、何が原因だと思うか」については、ある学生からは「自分自身は年間で国内旅行に4回、海外旅行に2回行っており、旅行離れは実感していない」という回答があった一方、別の学生からは、大学の出席率の縛りにより時間がないことや、「アルバイトで稼いだお金はスマートフォンの使用料などに消えているため、金銭的な余裕がない」などの答えが寄せられた。