ANTA会員調査、旅行業務従事者が減少、ネット販売が増加
全国旅行業協会(ANTA)は先ごろ、「平成27年度ANTA 会員実態調査集計報告」を公表した。同調査は会員企業の業務の状況や内容などの把握を目的として、正会員の旅行会社を対象に実施しているもの。今年は5382社のうち41.1%となる2214社から回答を得た。その結果、1社あたりの旅行業務に従事する従業員数が減少していることや、手配旅行が旅行売上高の4割強を占める状況、インターネットで旅行商品を販売している会社が前年比で2桁増となっている状況などが明らかになった。
資本金が2000万円未満の企業は回答数の6割以上を占めた。1社あたりの従業員数の平均は前回調査から0.5人減の48.0人で、5人以下の会社が約半数。このうち、旅行業務に従事する従業員数は前回から3.0人減となる5.9人で、5人以下の会社が全体の約8割を占めた。1社あたりの総合旅行業務取扱管理者は平均1.8人で、国内旅行業務取扱管理者は5.5人。総合旅程管理業務主任者については1社1.7人、国内旅程管理業務主任者は1社4.2人となった。
旅行事業以外におこなっている兼業があるか否かを問う質問では、「ある」と回答した企業が全体の55.6%を占める1183社、「ない」が44.4%の945社となった。兼業している業種はバス事業が386社、損害保険代理店業が332社、不動産業が137社などだった。
海外旅行の取り扱いについては「あり」が48.9%の1083社で、「なし」が51.1%の1131社となり、「あり」は半数をわずかに下回った。主な送客国・地域は台湾、韓国、ハワイなど。訪日旅行の取り扱いに関しては16.2%の304社が「あり」と回答。主な受入国・地域は中国が133社で最も多く、以下は台湾、韓国などと続いた。
旅行売上高を契約別で見ると、比率が最も大きかったのは手配旅行で全体の44.0%を占め、以下は受注型企画旅行、募集型企画旅行、他社商品の代理販売と続いた。国内旅行と海外旅行の売上比率に関しては、受注型企画旅行は国内が83.9%で海外が16.1%、手配旅行は国内が85.5%で海外が14.5%となり、ともに国内が8割以上を占めた。
第1種および第2種の旅行業者を対象に、募集型企画旅行について聞いた質問では、過去1年間で自社による募集型企画旅行を実施した会社は65.7%の664社。このうち、日帰り旅行の年間実施回数は平均124.9回で総取扱人数は平均3218人、宿泊を伴う旅行の実施回数は平均95.1回で総取扱い人数は平均1786人だった。
一方、第3種および地域限定旅行業者を対象におこなった、地域限定の募集型企画旅行に関する質問では、過去1年間で地域限定の募集型企画旅行を実施した会社は回答数の12.8%となる124社だった。このうち、日帰り旅行の実施回数は平均35.4回で総取扱人数は平均678人、宿泊を伴う旅行の実施回数は平均28.4回で総取扱人数は平均148人となった。
なお、過去1年間に受注型企画旅行を実施した旅行会社は1399社、着地型旅行を実施した旅行会社は437社だった。
販路について問う質問で「インターネットで旅行商品を販売している」と回答した旅行会社は14.7%の317社だった。このうち、旅行売上高全体を100%とした時のインターネットによる販売比率は、平均で30.4%だったという。