ジャルパック、「ストレスフリー」で沖縄強化、需要取込に注力

高付加価値で「JALパックならでは」をアピール

移動手段の利便性を向上して「高付加価値」を実現

「オリックスレンタカー JALパックプレミア店」の専用送迎バス。定員は25名  沖縄はほかの都道府県と比べて鉄道網が整備されておらず、那覇市に空港と市内を結ぶモノレール「ゆいレール」があるのみ。また、路線バスは運行しているが、1年中気温の高い沖縄ではバスを乗り継いで移動するだけでも体力を消耗するため、空港に到着した旅行者が荷物などを持ったまま自由に島内を観光するためには車が必要となる。ジャルパックによると、特に家族連れなどはレンタカーで島内を移動することが多い。しかし、空港からレンタカー店へ移動するための送迎バス乗り場はとても混雑しており、空港に到着後、レンタカー店に移動して手続きを終えるまでに1時間以上はかかるという。

JALパックプレミア店では1日に平均20台の車がレンタルされるという  利用者の利便性向上のために同社は今年4月、オリックスレンタカーと共同で、那覇空港から車で約5分の場所に「オリックスレンタカー JALパックプレミア店」を開業した。同店舗は「JALパック」などの利用者専用の店舗として、対象ツアーの旅行者を空港から店舗に送迎し、配車手続きまでを最短15分ほどでおこなうことで、旅行者のストレスの軽減をめざす。なお、オリックスレンタカーによると、旅行会社の名前を冠して対象のツアー参加者のみを専門で取り扱う店舗は今回が初めてだという。

コースを巡る間にガイドが民謡を2、3曲披露してくれる  また、レンタカーのほかにも沖縄ならではのオプションとして、同社では観光スポットを巡るバスガイド付きの路線バス「JALうたばす」を運行している。車内ではガイドが三線による沖縄民謡の演奏で車内を盛り上げるほか、沖縄特有の地名の読み方や植物、農業や漁業などについての豆知識を披露する。定員は1台40名で、中北部、中部、南部の3コースを用意し、中北部コースは毎日、中部コースは偶数日、南部コースは奇数日に運行する。料金はどのコースも1名1000円だ。

JALうたばすの中央部には車いす用のリフトが収納されている  中北部コースでは、海抜82メートルの高さから海などを望める「古宇利オーシャンタワー」や、美ら海水族館がある「海洋博公園」などを巡る。また、中部コースでは、沖縄県内から移築した古民家で伝統工芸や芸能などが体験できる「琉球村」や、亜熱帯の植物園「ビオスの丘」などを訪れる。南部コースでは「首里城公園」や、沖縄の自然や文化、歴史を体験できるテーマパーク「おきなわワールド」などが楽しめる。同社では、今年10月から中北部コースを巡る「古宇利島・美ら海号」に、車いすのまま乗車できるリフト付きのバスを2台導入し、バリアフリー化を進めた。そのほか車内には、無料WiFiサービスや電源コンセントも用意し、利便性の向上をはかっている。

古宇利オーシャンタワー内にあるシェルミュージアムでは1万点以上の貝を展示  同社によると、レンタカーの利用率は夏の長期休暇をはじめとする家族連れなどのレジャーが多い時期に増える。一方、JALうたばすの利用率はレンタカーの閑散期にあたる12月から2月にかけて、学生の修学旅行や企業の社外研修が増えるため最も高くなるという。同社では繁忙期以外の利用も増やしたい考え。

 プレスツアーでは乗用車とJALうたばすの両方を体験したが、自由に計画を立てて観光地を巡る場合にはレンタカーが便利。一方、自動車免許を持っていない人や、移動中に泡盛をはじめとする沖縄の酒を楽しみたい人、民謡などの沖縄文化に触れながら観光したい人はJALうたばすを使うなど、時期に関わらず目的に合わせて利用すると良いだろう。