双方向交流に向け海外旅行振興へ、若者と地方を国際化-EXPOより
異文化交流で海外を身近に、修学旅行や姉妹都市提携など活用
将来を担う若者を国際化、修旅や留学できっかけを
パネルディスカッションでは双方向交流の拡大に向け、今後の国際交流を支える人材育成の重要性から「若者の国際化」、全国レベルでの国際化の必要性を見据え「地方の国際化」の2つをテーマに議論がおこなわれた。若者の国際化について、井上氏は「長期の国際交流を担うのは若者。グローバルな人材育成の観点からも、早い段階で海外に行ってもらうことが大事」と主張した。
若者が海外旅行に行く大きなきっかけとなるのは、海外への修学旅行や留学だが、在日米国大使館商務部上席商務官の百合・アン・アーサー氏によると、2013年度に海外への修学旅行を実施した高等学校は1300校で、日本の高等学校の総数の約27%に留まっている。海外留学についても、文部科学省が発表した統計によると、12年度の海外留学者数は約6万人で前年からは5%増となったものの、ピーク時の04年度と比較すると約2万人減少した。
新潟県知事の泉田裕彦氏は、これらの状況を踏まえて同県では海外修学旅行の実施率や留学者数の向上に向けた取り組みを実施していることを説明。海外への修学旅行は事故や政情不安などから保護者が心配することも多く「学校単位でおこなうことは難しくなってきている」が、新潟県では複数の学校が共同で修学旅行を実施し、希望者のみが参加できるように工夫した。これにより、県立高校における海外への修学旅行や研修旅行などの実施率は、全国の公立高校の海外修学旅行実施率が9.3%であるのに対し、大幅に上回る約50%を維持しているという。
また、留学者数の増加に向けては、教育委員会に海外留学経験者の教師を中心とした専門の課を設置。泉田氏は「先輩や先生など身近な人がきっかけになる。そのような人材が次の人材を育成し、ビジネスや観光の活性化につながる」と主張した。
このほか、井上氏とアーサー氏は、今後の海外留学者数の増加に向けた課題を指摘。井上氏は留学後の受入体制について話し、義務教育期間は日本国籍であれば日本語を話すことができなくてもほとんどの学校が帰国子女を受け入れるものの、高校での受け入れは一部の私立高校などに限定されてしまうことから、「これらの状況を改善することで、留学者数を増加させることができるのでは」と述べた。
アーサー氏は「(英語の習得などに向け)せっかく頑張ろうとしているところを『どうせ無理』などと言われてしまうと、行動に移すことが難しくなる。若者を長い目で見てサポートするべき」と主張した。