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仙台空港、運営委託先がLCC増提案-20年に旅客410万人

 国土交通省航空局は、2016年夏に完全民営化する仙台空港について、運営委託の基本協定を締結した「東急前田豊通グループ」の提案の概要を公開した。同グループは東京急行電鉄、東急不動産、東急エージェンシー、東急建設、東急コミュニティー、前田建設工業、豊田通商で構成。LCCの新規就航をめざし、LCC向けの旅客搭乗施設の新設などを提案したほか、航空会社向けの割引制度や、空港へのアクセス利便性の向上策も盛り込んだ。同グループの東急電鉄によると、東北地方全体の活性化をはかることを念頭に置いたといい、将来イメージの目標として、「東北を発着する旅客に1番に選ばれる」空港をめざす。

 概要によれば、仙台空港の2014年度の年間旅客数は324万人だったが、20年度には14年比26.5%増の410万人、44年度には69.7%増の550万人をめざす。内訳は、14年度は国内線旅客数が307万人、国際線旅客数が17万人のところ、20年度が国内362万人、国際48万人、30年度が国内435万人、国際115万人。また、LCCについては、14年度の旅客数は全旅客数の16%だったが、30年度には比率を51%まで拡大する考えだ。

 航空ネットワークの拡大については、国際線では東アジアを中心に4時間圏内の直行便を増やす。東急電鉄によると、北京への増便や、香港への路線開設を促したい考え。なお、仙台からは15年夏ダイヤ現在、航空会社5社が北京、上海(浦東)、ソウル(仁川)、台北(桃園)、グアムへ就航している。国内線はLCCによる新規路線の拡充に注力するほか、FSCについても路線の維持・拡充と運航機材の大型化をめざす。

 また、航空会社向けの施策として、旅客数が減少する時期の負担を減らすため、着陸料や施設使用料などの空港関連コストを軽減する料金体系を用意。新規就航時の空港関連コストの割引制度も設ける。

 施設面では、施設の拡充や受入環境の整備をおこなう。整備投資総額は341億8000万円。LCC向けには搭乗施設を新設し、搭乗ゲートや駐機スポットを増設する。固定搭乗橋は設けず、空港使用料を減らすことで航空会社の負担を軽減する。また、既存のスポットにおいても、大型機1機から小型機2機まで対応できるようにマルチスポット化し、駐機数を増やす。旅客ターミナルビルについては、東北の物産品などを扱う商業店舗や飲食店などを増加。保安検査場の待ち時間を表示するシステムなども導入するほか、総合案内所の機能強化、地域住民向けの交流施設の設置などもおこなう。

 アクセスについては鉄道各社と協力して利便性の向上をはかるほか、関係各社と東北各地へのシャトルバスの運行などについて協議。立体駐車場を新設するなど車の利用者に対するサービスも増強する。このほか、官民連携で国内外の旅行者を対象にした観光ルートの開発、旅行商品の造成促進などを実施。東急グループのアジアの商業施設などを活かしたピーアール活動もおこなう。

 航空局では9月11日、同グループを優先交渉権者に選定し、9月30日に「仙台空港特定運営事業等基本協定書」を締結していた。同局によると、LCCに焦点を当てた提案だったことや、空港による東北地域の活性化、空港アクセスの改善、ターミナルビルの機能の充実に言及があったことが選定の理由だという。今後は12月に運営権を設定して実施契約を締結し、引き継ぎ作業を開始。翌年2月からビル施設事業などをおこなうという。