LHグループ、16年に組織再編、販促など一本化-LCC事業を強化

  • 2015年10月20日

(左から)ルフトハンザ・ドイツ航空CEOのガーナート氏、日本支社長のベンツ氏、新支社長のブンケンブルク氏、CCOのビショフ氏  ドイチェ・ルフトハンザAG(ルフトハンザ・グループ)は2016年1月、グループの組織を再編する。10月20日に開いた記者会見で、同グループ取締役兼ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)CEOのカール・ウルリッヒ・ガーナート氏はLH、オーストリア航空(OS)、スイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)の経営統合を発表した。路線計画や販売戦略、マーケティング、新製品の開発などを1つの組織に束ねる。取りまとめはLHがおこなう予定だ。3社のブランドは継続し、引き続き顧客に対して幅広い選択肢の提供をはかる。

CEOのカール・ウルリッヒ・ガーナート氏  ガーナート氏は「統合による運営の効率化に加え、迅速な意思決定が可能になり、市場の変化や顧客のニーズにタイムリーに対応できるようになる」とメリットを説明。組織が大きくなるため、機材の購入や燃料の調達、空港との調整などにおける交渉力の強化にもつながるほか、全日空(NH)との共同事業の効率化もはかれるとした。また、同グループ経営役員でLH取締役兼COOのイエンス・ビショフ氏は本誌の独占インタビューに応え、「統合により、1年で5億ユーロ以上のコスト削減をめざす」と意欲を示した。

 さらに、ガーナート氏は11月に同グループのLCC2社を再編し、LCC事業に注力していく方針を示した。ユーロウィングス(EW)にジャーマンウィングス(4U)を統合し、EWのブランドで展開していく。ただし、当面は4Uでの運航も維持する。ガーナート氏は「ここ数年はLHにとって、EWの成長が最も重要」と語り、16年1月以降、現職に加えてEWのボードメンバーに就任することを明かした。

COOのイエンス・ビショフ氏  LCCはコスト面での競争力の確保が重要であることから「(FSC3社とは)独立したオペレーションで展開し、ポイント・トゥ・ポイント(の路線)に注力していく」考え。「グループ全体では欧州1位」とした上で、将来的にはEWを欧州内で、ライアンエアー(FR)やイージージェット(U2)に次ぐ第3位にまで成長させていくという「野心に満ちた」目標を語った。また、ビショフ氏はEWにおいて「格安でサービスレベルの低い航空会社ではなく、価値あるサービスを提供する航空会社でありたい」とし、サービスの強化で他社と差別化をはかりたい考えを述べた。

記者会見には現日本支社長のオットー・F・ベンツ氏と新支社長のドナルド・ブンケンブルク氏の両氏が出席。CEOのガーナード氏がベンツ氏をねぎらうとともに、ブンケンブルク氏の活躍に期待を示した  EWではケルン・ボン空港を拠点にし、欧州域内の短距離路線に加え、長距離路線の運航もおこなっていく。11月2日から、バンコク、プーケット、ドバイ、キューバのバラデロ、ドミニカ共和国のプンタカーナとプエルトプラタに順次就航する。運航機材はエアバスA330-200型機で、プレミアムエコノミークラスとエコノミークラスの2クラス制とした。

 また、ビショフ氏はEWの今後の長距離路線の展開について「まずは収益性の確保が重要」としながらも「選択肢はたくさんあるが、従来の路線では飛ぶことができないデスティネーションを検討する」と説明。日本については戦略的にも重要な市場とし、「常に就航先リストには入っている状態。数年後、新しい日本のデスティネーションが(就航先として)加わる可能性がある」と示唆した。