奈良、冬の閑散期に新イベント、3万人の集客めざす-OTAと協力も

  • 2015年10月19日

奈良県観光局長の福井義尚氏  奈良県は10月19日、旅行商品説明会と商談会、記者発表会をおこなった。商品説明会の冒頭、登壇した奈良県観光局長の福井義尚氏は「奈良の観光シーズンを見ると、冬の1、2月が1番(宿泊者数が)落ち込んでいる」と説明。「この時期に大々的な誘客キャンペーンをおこなわなければならないというのが奈良の課題だった」と語り、来年1月29日から2月2日にかけて、平城宮跡で誘客イベント「大立山まつり」を新たに実施することを紹介した。奈良県の補正予算2億円を活用して実施し、集客目標は3万人に設定した。

 同県によると、奈良のオフシーズンは夏の6月、7月と冬の1月、2月。同県が奈良の主な宿泊施設11施設を対象に実施した調査によると、14年の年間宿泊者数は約75万8000人で、春や秋のピークにはひと月あたり8万人台に上るが、夏は5万人から6万人台、冬は4万人台まで落ち込む。

 このため、奈良県では冬の誘客とリピーターの創出をめざし、新イベントの実施を決定。同時期に開催される「若草山焼き」「なら瑠璃絵」などと一体的にプロモーション活動をおこなうとともに、イベントガイドブックを作成する。さらに、OTAと協力した宿泊割引キャンペーンもおこなう。1月、2月の冬季全体で約4万人の宿泊者数増をめざす。

 「大立山まつり」は奈良県各地に残る祭り「立山」をベースにしたもの。人形やジオラマなどの「立山」4基を四天王をモチーフに制作し、平城京跡の大極殿内でセレモニーを実施。同県によると、青森の「ねぶた」風のもので、御所市のススキ提灯などの奈良県域の地域の祭りとともに運行するという。このほか、大極殿前のステージでは、県内の伝統行事を披露する計画だ。現在、「大立山まつり」事業の企画制作運営業務の受託業者を公募しているところで、決定次第詳細をつめていく予定だという。

奈良県観光局観光プロモーション課参事の阿部辰雄氏  奈良県観光局観光プロモーション課参事の阿部辰雄氏によると、今後はプレスリリースや各種広報誌、テレビや新聞などのマスメディアを活用するとともに、主要駅構内でのパンフレットの配布やポスターの掲出といった広報宣伝活動を展開していく。近畿圏では雑誌と連携し、ガイドブックを雑誌に付属する小冊子として提供する予定だ。首都圏では東京駅八重洲口のデジタルサイネージや、東京駅周辺にあるインフォメーションセンター「東京シティアイ」、アンテナショップ「奈良まほろば館」でピーアール活動をおこなう。

 さらに、OTAと協力した「奈良県宿泊者限定ネットクーポンキャンペーン」で、イベントの周知徹底をはかる。同キャンペーンは「楽天トラベル」「るるぶトラベル」「Yahoo!トラベル」「じゃらんnet」の予約サイト上で、クーポンにより最大50%宿泊料金を割り引くもの。対象期間は1月4日チェックインから2月29日チェックアウトとした。このほか、宿泊施設や旅行会社に対し、宿泊や着地型旅行商品の造成、販売を訴えていく。

 同日実施した商談会の様子  このほか、セミナーでは16年春と夏の観光素材を紹介。「奈良 うまし夏めぐり」として、旅行会社に対し23の企画を紹介した。今回は新企画を13プラン用意しており、例えば橿原市の橿原神宮では、月次祭に参加し、通常は入ることができない本殿間近で神職による解説を聞いた後、宝物館を拝観するプランを設定。生駒市の宝山寺は重要文化財「獅子閣」内部の特別拝観と、護摩祈祷体験を用意した。オプショナルツアー用は喜光寺、唐招提寺、薬師寺の共通拝観と御朱印帳、御朱印納経料をつけた特別券などを新設した。

 また、春日大社第六十次式年造替記念奉祝行事実行委員会事務局部長の宇堂清治氏は、奉祝行事に伴うプランを説明。神職や巫女の案内付きで、御仮殿の特別参拝や戦国武将などが奉納した釣燈籠の特別拝観をおこなうプランや、今年度実施して好評だったという、女性向けの巫女の1日体験プランなどを紹介した。