クリスタル・クルーズ、「ラグジュアリーブランド」維持、新事業も

  • 2015年10月18日

(左から)クリスタル・クルーズセールスマネージャーの小金潤氏、同社インターナショナル・セールスディレクターのマーニー・タルシノス氏、郵船クルーズ営業企画部インターナショナルチームチーム長の遠藤陽子氏  クリスタル・クルーズからインターナショナル・セールスディレクターのマーニー・タルシノス氏がこのほど来日し、本誌の取材に応えた。同氏は「日本は重要な海外市場の1つと位置づけており、引き続き市場拡大に注力していきたい」と意気込みを述べた。今年5月、親会社の日本郵船がゲンティン香港にクリスタル・クルーズを売却したことに対しては「ゲンティン香港の傘下となったが、我々のブランディングには変更はなく、引き続き6ツ星のラグジュアリーなプロダクトを皆様に提供していく」方針を示した。なお、日本地区販売総代理店は郵船クルーズが担当する。

 クリスタル・クルーズ社は先ごろ、2018年までの戦略として、航空、リバークルーズ、ヨットサイズの小型客船への事業の拡大と、10万トン以上の客船3隻の新造船を発表したところ。タルシノス氏は「クリスタル・クルーズのよく知られた最高級のサービスを、海から空まですべてのプロダクトで提供する」と説明。リバークルーズや小型船を活用した新しいデスティネーションの開拓をはかる考えを示した。また、同社のリピーター組織「クリスタル・ソサエティ・メンバー」に加え、「例えばヨットクルーズでは冒険心あふれる若い人々など、新たな客層を取り組みたい」とした。

 航空事業では、「クリスタルラグジュアリーエアー」として、ファーストクラス全60席のボーイングB787型機で、毎月28日間の世界一周ツアーを実施する。月ごとにゴルフやスキー、料理などのテーマを設定してツアーを提供する考えで、旅行代金は1名あたり約10万米ドルとした。

 17年春の就航を計画するリバークルーズについては、今年12月に船内の詳細やスケジュールなどを発表し、予約を開始する。客室はスイート70室となる見込みで、欧州内で、リバークルーズデスティネーションと位置づける6ヶ国を航行する予定だ。12月23日から処女航海を開始する小型客船「クリスタル・ヨット・クルーズ」については、すでに詳細を発表しており(関連記事)、入江やヨットマリーナ、孤島などを周るという。

 3隻の新造船については、既存の2船が5万トンから6万トン台のところ、10万トンクラスに大型化。乗客定員は1000名で、乗客と乗員の比率は1対1とした。氷河区域も航行できる機能を有した客船であるため、今まで訪問できなかったデスティネーションに訪問できるという。詳細なスケジュールなどは17年に発表する予定だ。また、船の最上デッキには48部屋のレジデンスを用意。専用のコンシェルジュがおり、居住者のサポートをおこなう。料金は500万米ドルから2000万米ドルで、別途メンテナンス料金が必要だという。

 そのほか、同氏はクリスタル・クルーズの日本寄港クルーズを紹介した。16年には「クリスタル・セレニティ」のワールドクルーズの途上、福岡、清水、東京、青森、小樽に寄港。同社では3月31日から4月14日までの上海発東京クルーズと、4月14日から5月6日までの東京発サンフランシスコクルーズとしてツアーを設定した。17年は「クリスタル・シンフォニー」での太平洋を周るグランドクルーズの途中、福岡、広島、高松、大阪、清水、東京に寄港する。商品として、3月31日から4月14日までの仁川発東京クルーズと、4月14日から30日までの東京発ロサンゼルスクルーズを用意した。

 タルシノス氏は、「世界の乗客のクルーズの予約はとても早い。日本は予約が遅い、ラストミニッツの市場」と説明。例えばワールドクルーズについては、北米などを中心に18ヶ月前に部屋が売り切れており、早めの予約が必要だという。クリスタル・クルーズセールスマネージャーの小金潤氏も、旅行会社に対し早期の商品造成と予約を呼びかけた。