マレーシアとJATA、19年日本人100万人へ-MOU再締結
マレーシア政府観光局と日本旅行業協会(JATA)は9月25日、「マレーシア100万人プロジェクト」推進に向けた2度目のMOUを締結し、調印式を開催した。同プロジェクトはJATAと同観光局が年間日本人旅行者数100万人の達成に向け、2012年4月から15年3月まで実施していたもの。期間中の100万人達成は叶わなかったものの、11年が38万6974人だったところ毎年増加を続け、14年には11年比42.9%増の55万3106人にまで増えたことから、2回目のMOUを締結して10月から取り組みを再開し、19年までに達成をめざす方針だ。
同観光局によると、今年の1月から3月までの日本人訪問者数の累計は、前年比16.4%減の12万5339人。国際プロモーション部アジア・アフリカ部部長のダト・ムサ・ユソフ氏は本誌などの取材に応え、マレーシア航空(MH)の事故などの影響や円安基調などを減少の要因として挙げた。今後は「JATAとの19年までのコラボレーションで、誘客と受け入れの両方に努めていきたい」考え。なお、マレーシアでは20年までに外国人訪問者数3600万人、観光収入1680億リンギットをめざしている。
具体的には、JATAとともにツーウェイツーリズムの推進、マレーシアのグローバル人材育成プログラムのアピール、ロングステイの推進、ハラールマーケットの開拓などに取り組む。ユソフ氏は「政府として、両国間の双方向の行き来の促進をはかっている」と話し、ツーウェイツーリズムの重要性を強調。訪日マレーシア人の増加で日本発マレーシア行き便の座席が予約しにくくなっていることに触れ、2国間の供給座席数の増加に注力していく方針を示した。
両国間の航空路線は週52便で、今年9月からは全日空(NH)が成田/クアラルンプール線を約13年ぶりに再開したところ。ユソフ氏は、NHの復便に喜びを示すとともに、MHをはじめとする航空会社に増便や座席数増などを働きかけていることを説明した。同氏によると、空港会社も新規就航などに対して着陸料を軽減したり、空港内のオフィス賃貸料を3年間無料にするインセンティブを用意して、路線誘致に力を入れているという。
また、マレーシアへのツアーの再活性化をはかるため、JATAと共同で旅行会社への働きかけを強めていく。10月中には旅行会社の造成担当者などと会合を開く予定だ。同氏は現地のランドオペレーターや旅行会社などとの協力を強化することで「より革新的で工夫されたパッケージツアーを作ってもらいたい」と話した。さらに、シンガポールやタイなどの周辺諸国と協力し、周遊ツアーの造成も働きかけていくという。加えて人材育成も強化する方針で、旅行会社向けの情報提供を強化し、スタディツアーを実施。ユソフ氏は特に「カウンターでお客様と接している方々に、もっとマレーシアの魅力を知った上で売ってもらいたい」と述べた。
このほか、メディアとの連携もより深化させる計画で、プレスツアーをおこなうほか、ソーシャルメディアも活用していく。また、タクシー1080台を活用したラッピング広告も引き続きおこなっていく。
調印式で登壇したJATA理事長の中村達朗氏は、日本人出国者が減少傾向にあることに触れた上で「毎年パワフルなプロモーションをしてきたマレーシア政府観光局と引き続き協力関係を築けることは、JATAとしても大変意義深く、心強いこと」と喜びを示した。