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福岡空港を「混雑空港」に、発着回数制限-国交省、パブコメ開始

  • 2015年9月9日

 国土交通省航空局(JCAB)は2016年3月27日から、福岡空港を「混雑空港」に指定する方針だ。LCCの新規就航などによる、同空港の航空機発着回数の急増を踏まえたもの。指定には航空法施行規則の一部を改正する必要がある。同局では9月1日、パブリックコメントの募集を開始した。募集期間は9月30日までで、改正のための省令の公布は今年の10月中旬を、施行は16年3月27日を予定している。

 混雑空港とは、航空機の運航の安全を確保するため、1日または一定時間あたりの離着陸の回数を制限する必要がある空港のこと。現在は成田、羽田、関空、伊丹の4空港が指定されている。航空会社が混雑空港に就航するためには、国土交通大臣の許可を得る必要がある。就航許可の期間は5年間。

 JCABによると、福岡空港の処理容量は14万5000回だが、12年の年間発着回数は15万1000回と処理容量を超過した。13年は年間発着回数は16万7000回まで拡大している。こうした状況により、福岡空港では発着便の遅延が恒常化しており、特に夕方以降の発着便が遅れることで、空港の運営時間である22時以降に発着する便の増加が深刻な問題となっている。

 JCABでは福岡空港を混雑空港に指定することで、発着回数の制限や調整をおこないたい考えだ。ただし、混雑空港指定後も、現在運航中の路線については維持する。同局航空ネットワーク部航空事業課によると、混雑状況のさらなる悪化を阻止するために今回の措置を提案するという。

 同課では混雑空港への指定を踏まえ、セスナのような小型機やヘリコプターなどの発着便数に一定の制限をかけることも検討している。こうした取り組みにより、ヘリコプターが滑走路を横断する際に航空機が離着陸できない、といった課題の解消に繋がるという。具体的な内容や開始のタイミングは未定とした。

 なお、国土交通省は、福岡空港の利便性向上や航空機の慢性的な遅延の緩和などを目的に、ターミナルなどの再編事業を実施。滑走路増設事業を進めているところ。総事業費は約1643億円で、事業期間は15年から約10年間としている。