東京さくらツーリスト、都の補助金を不正受給-福島送客で

  • 2015年8月25日

 東京都はこのほど、福島県の復興支援に向けて2011年9月から実施している「被災地応援ツアー」事業について、品川区西五反田の東京さくらツーリストが架空のツアーなどに対する補助金を申請し、不正受給をおこなっていたことを明らかにした。同事業は都内の旅行会社が都内在住者を福島県に送客した場合に補助金を支払うもので、都は受託事業者の東京観光財団を介して、宿泊を含むツアーでは参加者1名1泊あたり3000円、日帰りのツアーでは参加者1名あたり1500円を協力金として支払っている。8月24日には同財団が警視庁に被害届を提出。同社には2週間以内を目途に、総額235万5000円の返金を求める。

 同社は1999年に全国旅行業協会(ANTA)に入会した第2種旅行業者で、今回の不正受給は6月15日に、匿名の一般消費者から同財団に通報があったことをきっかけに判明。通報の内容を調査する過程で、架空のツアーに関する申請や、実際の参加者よりも多い人数で実施したとする虚偽の申請が見られ、都と同財団が同社や宿泊先とされた旅館などに調査した結果、同社が補助金を不正に受給した事実を確認したという。不正に申請した泊数は485泊分、日帰りツアーの数は600回分に上る。

 同社が12年度から14年度までに催行したとする12本のツアーで不正に受け取った補助金の内訳は、架空の4つの宿泊ツアーに対する補助金が128万4000円、実際の参加者より多い人数を申告した5つの宿泊ツアーが17万1000円、架空の3つの日帰りツアーが90万円。同財団によれば同社は「過去に在籍した社員がおこなった」と説明しているが、都は同社の事業参加登録を取り消す方針。都と同財団は今後、過去の他社のツアーに関しても実態を調査し、調査結果をもとに再発防止に取り組むという。

 同財団によれば事業には現在、都内の約170社が登録。そのうち120社から130社程度が補助金を申請している。なお、最盛期の12年度には最大で約270社が登録し、約200社が協力金の申請をおこなっていたという。

 都は同事業について多くの旅行会社の協力を得るために、11年度から開始した宿泊を含むツアーへの補助については、12年度から14年度上半期までの間、領収書の提出を不要としていた。また、12年度から開始した日帰りツアーへの補助についても、当初から領収書の提出を免除していた。しかし不正の可能性を指摘する一部の旅行会社からの指摘を受け、いずれも14年度下半期からは領収書の提出を義務付けていたところ。