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仙台で東北観光復興加速化会議、被災3県で「100選」選定へ

  • 2015年8月24日

 観光庁は、このほど仙台で東北観光復興加速化会議を開催した。同会議は「観光立国実現にむけたアクション・プログラム2015」に基づいて開催したもので、観光振興を加速化することで、東北地域全体の復興・発展につなげることを目的としたもの。座長で国土交通副大臣の西村明宏氏をはじめ、観光庁長官の久保成人氏、宮城県知事の村井嘉浩氏、仙台市長の奥山恵美子氏などの自治体関係者や日本観光振興協会(日観振)、全国旅行業協会(ANTA)、日本旅行業協会(JATA)などの観光団体関係者が参加した。会議で登壇した西村氏は「観光は東北の復興を牽引する大きな力になる」とコメント。全員で気持ちを1つにして、観光振興に取り組んでいく考えを示した。

 観光庁の2014年の宿泊旅行統計調査によると、従業員が10名以上で観光目的の宿泊者が半分以上の宿泊施設における延べ宿泊者数は、震災前の10年比で、全国は7.9%増と増加したが被災3県は10.8%減と減少。岩手県が5.9%減、宮城県が6.4%減、福島県が16.8%減だった。また、従業員10名以上の宿泊施設における延べ外国人宿泊者数は、全国が61.7%増と大きく伸長したのに対し、被災3県は35.5%減。岩手県が12.2%減、宮城県が35.7%減で、福島県は風評被害の影響などで57.4%減と大きく下回った。

 8月19日の定例会見で、久保氏は「東北観光はインバウンドだけでなく国内を含めて伸び悩んでいる。元の状態に戻っていないのは数値的な事実」と説明。会議において、東北の情報を発信し、実際に足を運んでもらうための具体的な取り組みをおこなうことで合意したと語った。6月に認定した広域観光周遊ルートについて具現化するなど「人を動かす、動くような取り組みを進めていくことで、東北の数字を少なくとも震災の前に戻していきたい」考え。訪日客については「もともと小さい数字なので、戻ったことを持って良しとするわけにはいかない」とし、東北地方の魅力の認知度向上をはかることで、増やしていきたいと語った。

 認知度向上については、「東北3県見るもの・食べもの・買いもの100選」として、風景や観光施設、祭り、伝統工芸品や地酒など観光資源や特産品をテーマに100個のコンテンツを収集し、観光客にアピールしていく方針だ。今後は自治体などからコンテンツを公募し、一般投票を踏まえ、有識者たちが選定する予定。また、100選のシンボルマークを作成して各種媒体に掲出し、東京のアンテナショップでプロモーションをおこなっていく。日本政府観光局(JNTO)の海外事務所などを通じて海外への訴求もはかる。

 さらに、震災復興ボランティアなどで東北を訪れた人々の再訪を呼びかける「送客1000万人プロジェクト」も進めていく。現地でのイベントと連携し、訪問者増に結びつけていくとした。

 このほか、会議では参加者から、原発事故の風評被害の払拭のためのマスコミを通じた正確な情報発信、官民協働での地域の観光素材のブラッシュアップの必要性について意見が出された。また、文化庁が選定する「日本遺産」について、東北地方の認定が0件であることから、積極的に活用していくべきとの意見も挙がったという。