南ア航空、エボラ風評に対し安全アピール-富裕層取込も強化
南アフリカ航空(SA)はこのほど、昨年に発生したエボラ出血熱の風評被害で南アフリカ共和国への訪問者数が減少していることを受け、報道関係者向けに同国の安全性をアピールする発表会を開催した。開会の挨拶をおこなったSA日本支社長の小野直子氏は、南アフリカ共和国への日本人訪問者数はここ数年増加傾向にあったものの、風評被害による影響で観光需要が大きく減少したことを説明。「南アフリカでは感染者は報告されていない。これから迎える観光シーズンに向けて、(消費者には)正しい情報を知ってもらい、アフリカ南部への渡航が安全であることを再認識してほしい」と訴えた。
小野氏によれば、乗継客を除いた昨年の同国への日本人訪問者数は、前年比5.0%減の2万7504人。特に観光のベストシーズンである9月から11月までの3ヶ月間では、約23%減少したという。小野氏は回復傾向にある現在についても「回復は予想よりも非常に遅い」と危機感を示した。
続いて登壇した駐日南アフリカ共和国大使のモハウ・N・ペコ氏は、これまで同国では1人も感染者が確認されていない点を改めてアピール。加えて、エボラ出血熱の流行地のアフリカ西部から南アフリカ共和国までは、地理的に遠く離れている点を強調し「5000キロメートル以上離れているところから、感染症が飛んでくることは不可能」と語った。
さらにペコ氏は、同国では感染症への対策を強化している旨を報告。空港には成田空港と同様にサーモグラフィーカメラを設置して水際対策をおこなっているほか、感染症の拡大を防ぐために世界保健機関(WHO)と緊密に連携をとっている旨を説明した。
なお、SAはこの日の発表会で、今後は従来のターゲットとしていたシニア層に加え、30代や40代、ハネムーナーなどのラグジュアリー層の取り込みを強化し、需要の回復に向けたプロモーションをおこなっていく考えも示した。小野氏によれば、駐日南アフリカ共和国大使館や、富裕層を対象としたプロモーションの一環で高橋ひとみさんを観光親善大使に任命した南アフリカ観光局と協力して、一般消費者向けにイベントを開催していくという。