OTAの台頭や訪日客の増加で旅館の対応に変化-WIT Japanより
ネット販売や受入体制について議論
旅館と地域の協業も
OTAの台頭によるFITや訪日客の増加により、日本の旅館の対応に変化が求められている。6月5日に東京で開催されたオンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel(WIT) 2015」では、滋賀と熊本の旅館の館主が登壇し、OTAを活用したインターネット販売や、訪日客の受入体制において旅館が抱える課題などについて議論をおこなった。
作家 柏井壽氏
「紅鮎」 3代目館主 山本享平氏
「蘇山郷」 3代目館主 永田祐介氏
・モデレーター
アゴーラ・ホスピタリティーズ 代表取締役社長 浅生亜也氏
OTAの活用でFITが増加
口コミや電話でニーズを探る
パネルディスカッションではまず、熊本県の温泉旅館「蘇山郷」の館主である永田氏がインターネットの普及による販路の変化について説明した。同旅館では、従来の旅行会社に加えてOTA経由での予約が増加しており、それにともない団体客よりもFITが増えたという。永田氏は「FITの増加に伴い、旅館に求められる対応も変化した」と指摘。例えば、団体の場合1度で済むチェックインも、FITの場合チェックイン時間が宿泊者によって異なるため、その都度対応が求められていることを挙げた。
こうした多様化する宿泊者の要望に応えるため、蘇山郷では館内にある宿泊者カードや、ネットの口コミを参照。永田氏は、それらを「早急に対応するもの」「一ヶ月くらいかけて改善していくもの」「改善できないもの」などに振り分け、対応していると語った。
続いて、滋賀県の温泉旅館「紅鮎」館主の山本氏は、OTA経由で予約を受けることによる宿泊者とのコミュニケーション不足を課題として挙げた。同氏によると、OTAにより24時間予約を受け付けることが可能になったことで、結果的に予約件数は増加したが「お客様との電話での会話中に拾い上げていたニーズがつかみにくくなった」という。同旅館では宿泊者とのコミュニケーションをはかるため、OTA経由で予約を受け付けた後、予約日の2日前に必ず確認の電話をかけている。とはいえ電話をかけることができない場合もあり「対応に難しさを感じている」とした。