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デルタ航空、スカイマーク再生支援へ-「第3極」は維持

  • 2015年7月15日

7月15日、都内でメディア向け記者会見を開催。同日、債権者向け説明会も開催しており、81社133名が参加した スカイマーク(BC)の最大債権者である米国の航空機リース会社、イントレピッド・アビエーション(イントレピッド)は7月15日、同社のBC再生計画案における支援航空会社にデルタ航空(DL)を選定したと発表した。

 同日に開催した記者会見で、DL日本支社長の森本大氏は「経営はBC独自の独立した経営とし、その中で両社で相談しながら、WIN-WINの形になるような良好な関係を築きたい」と意欲を示した。また、イントレピッド社長兼最高経営責任者のフランクリン・プレイ氏は「BCの再生は債権者、BCとその社員、消費者にとて最善となる方法で実施されるべき」とした上で、DLの参入はBCの再生にとって効果的とし、DLを歓迎する姿勢を示した。

イントレピッド社長兼最高経営責任者のフランクリン・プレイ氏 BCの民事再生については5月29日、BCとイントレピッドがそれぞれ再生計画案を東京地方裁判所に提出していた。今後は7月24日までの債権者による書面での投票と、8月5日の債権者集会での投票で過半数の賛成を得た計画案が、再生計画として認可されることになる。BC案では投資ファンドのインテグラル、ANAホールディングス(ANAHD)、UDSエアライン投資事業有限責任組合(UDS)の3社が共同スポンサー。一方、イントレピッド案ではスポンサー名を明確にしていなかった。

 イントレピッド案では、BCの独立した第3極としての地位を維持した再生、DLによる支援、債権責任者への弁済条件の向上の3点を掲げている。会見に同席した大江橋法律事務所の上田裕康氏は、羽田空港国内線のスロットのシェアにおいて、ANAHDとJALグループが合計で約9割を、BCが約1割を占めていると説明。「DLがBCの第3極としての存在意義を今後も残すため、スポンサーとして協力してくれることは我々として非常に良い選択」であると強調した。

DL日本支社長の森本大氏 DLは共同スポンサーとしてBCに出資。売上の増大、運航・顧客サービスの改善、ネットワークの拡大などを支援していく。売上の増大では、レベニューマネジメント技術の提供による利益率の最大化や、マイレージプログラム導入のサポート、DLの「スカイマイル」との連携をめざす。また、運航・顧客サービスについては、森本氏は「DLは米国トップレベルの運航水準がある」と語り、今までの実績を活かし、BCの運航改善を支援すると説明した。ネットワークについては、BCがこれまで利用してきた独自の予約システムを汎用可能なものに変更することで「世界中の航空会社とつながるようにお手伝いをしていきたい」とした。

 森本氏はワンワールドのアメリカン航空(AA)が日本航空(JL)と、スターアライアンスのユナイテッド航空(UA)が全日空(NH)と提携するなか、スカイチームに加盟するDLとしては「常に、可能性があれば提携航空会社の候補を模索してきた」と説明。BCは国内の主要都市への路線ネットワークを持つことから提携先の候補だったが、これまではBCが独自の予約システムを利用しており、マイレージプログラムを持たない点や、顧客へのサービス水準がDLと一致しないことなどで、提携の話が進まなかったと振り返った。

 しかし、今回の民事再生で「少し状況が変わった」(森本氏)。再生によりBCが新たなビジネスモデルを構築できれば「我々もBCと提携していくことが可能になるのでは」と期待を示した。スカイチーム参入についても、可能性として検討の俎上にあげていく考えだ。なお、BCに対する出資は、航空法の外資規制に対応するため、出資比率は最大で33.3%以下になるという。

 加えて、森本氏は中長期的な展望とした上で、BCとのコードシェアや、BCの国内線とDLの国際線ネットワークの接続の可能性について言及。BC、DL双方の顧客が互いを利用することでシナジーが見込めるとした。ただし、DLによればまずはBCの再建に注力し、再建後にコードシェアや路線展開などを検討していくという。なお、現段階ではBC側との話し合いには至っておらず、今後イントレピッド案が債権者から選ばれた後、BC側と協議していく計画だ。

▽300億円の再建取り下げ、15億円を弁済原資に

 また、会見ではイントレピッドが、同社案の適用が債権者により可決され、DLがスポンサーに就任するなどの条件が整った場合、争いのある届出債権のうち300億円を取り下げると発表。これにより、約15億円がBCが債権者に弁済する原資に充てられるようになり、早期弁済が可能になる。

 プレイ氏は、以前、同社がBCにリースしていたエアバスA330型機をANAHDがリースし、債権の大幅削減をはかる計画があったことを説明。結果としてANAHDとのリース実施は頓挫し、債権の減額が不可能になったことで「BC案では大口の債権者からの支持を得られず、BCが清算してしまうのではという懸念を感じた」と語った。今後は同社案で弁済条件が向上することを、債権者に対しメリットとして訴えていく考えだ。なお、イントレピッドによると、今回DLとはビジネス状の同意に至っているが、同意の内容にリース実施は含まれていない。