オーストラリア、座席増で「第3のブーム」、20年70万人めざす

  • 2015年6月22日

(左から)TA本局局長のオサリバン氏、日本局長のライリー氏(メルボルン発) オーストラリア政府観光局(TA)は6月22日、メルボルンで旅行商談会「AUSTRALIAN TOURISM EXCHANGE(ATE)」を開始した。25日までの4日間にわたって、500社1500名のセラーと世界30ヶ国から集まった700名のバイヤーが5万回の商談をおこなう予定。日本の旅行会社からも38名のセラーが参加している。

 2014年の日本人訪問者数は前年比0.6%増の32万6500人と増加。TA本局局長のジョン・オサリバン氏は日本から参加した業界誌の取材に対し、「最も良かった頃の数字を取り戻したわけではないが、訪問者数、消費額とも急落が止まったと見て良いのではないか」と分析。

 その上で、カンタス航空(QF)が8月1日からシドニー線を羽田に振り替え、成田からはブリスベンへデイリーで路線を開設する計画がさらなる回復と成長に結びつくと期待を示した。

 TA日本局長のアンドリュー・ライリー氏も、「過去2回のオーストラリア旅行のブームは航空座席の増加によるものだった」と振り返り、今回のQFの増便を「第3のブーム」に繋げたいとコメント。特に、FSCであるQFが増便に踏み切ったことで日本航空(JL)や全日空(NH)が追随する可能性もあり、「12ヶ月以内に新路線が開設されると確信している」と強調した。

 また、オサリバン氏は、航空座席以外の要因として、日本市場で安全で安心して旅行できるデスティネーションのニーズが高まっていることや、日豪経済連携協定(EPA)が結ばれたことなども追い風になると予測。

 TAでは日本市場において、2010年の実績比で約2倍となる28億豪ドルから33億豪ドルの観光消費額を2020年までに達成することを目標に掲げている。2011年段階では訪問者数の目標を2010年比40%増の56万人とし、1人あたりの消費額増を戦略として掲げていたが、現在は訪問者の目標を70万人に設定。追い風をつかみ、訪問者の倍増をめざす。

 増加に向けての具体策として、年内にもオンライン教育プログラムの「オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」を刷新して再開。消費者向けサイトなどから集約した市場のニーズをプログラムに反映するなどし、より実践的な内容とする。ASPを中心に旅行会社向けの教育に専念する担当者も採用する。

 さらに、9月にはTAとしてセールスミッションも日本に招致。同時期のミッションはクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州も実施していたが、これを集約して大阪、名古屋、東京の順に巡る。すでに41名が来日予定で、50名以上の参加をめざす。

 このほか、本局では沿岸部に焦点を当てたプロモーションも計画。これは、世界レベルのビーチなどを擁するもののあまり知られていないという認識のもと、様々なビーチやグレートオーシャンロードなどをアピールしようとするもの。詳細は未定ながら、日本でも食や文化などのプロモーションと組み合わせた展開を検討していくという。