カナダ、好調な日本市場、新素材提案で拡大へ―RVC2015レポート(2)
路線拡充契機にプロモーション強化
新素材を提案、需要の積み増しはかる
日本の海外旅行市場が低迷するなか、カナダへの日本人渡航者数は増加しており、2014年は前年比13.1%増の23万9000人となった。日本/カナダ間の路線網も拡充し、各州観光局も今後の成長に期待を示す。中でもエア・カナダ・ルージュの関空/バンクーバー線開設で、関西市場への注目も高まっている。このほど開催された「ランデブーカナダ2015(RVC2015)」で、各局の今後の取り組みを聞いた。
オンタリオ、新観光素材を積極提案、関西市場にも注目
2014年のオンタリオ州への日本人渡航者数は26%増の11万7090人。同州観光局日本事務所アカウントマネージャーの田中恵美氏は、「羽田/トロント線が就航したことから、地方からの羽田乗継需要が好調。加えてファーストタイマーの数も増えた」と日本市場拡大の要因を明かす。
また、関空/バンクーバー線開設により、関西発バンクーバー乗継の需要の開拓に注力。同局ウェブサイトを活用して夏のプロモーションを強化していく。訴求テーマはグルメ・ワインとアウトドア、LGBTなど。例えばワインでは、大人の女性をターゲットにプリンス・エドワード・カウンティなどのワイナリーを新たに紹介。カナダ観光局(CTC)がプロモーションの一環として展開する総合ポータルサイト「カナダシアター」に合わせて商品化する予定だ。
トロント観光局では新素材として、1920年代の機関車を活用した、セント・ジェイコブスのレトロ機関車を紹介。特にシニア層や鉄道好きへの訴求を高めていきたい考えだ。同局日本・韓国地区マーケット・ディベロップメント・マネージャーの鈴木正城氏は「VIA鉄道とのコラボでオンタリオ鉄道の旅も提案も可能だろう。チャーターもできるため旅行会社に商品化も働きかけていきたい」と話す。
今回のRVCの会場となったナイアガラフォールズ観光局では、今夏にナイアガラの滝にオープン予定のZIPラインを紹介。また、ワイナリーを巡る自転車ツアーにも力を入れていく。同局国際旅行業界担当マネージャーのアナスタシア・ベロショワ氏は「アクティブなナイアガラを体験するプログラムを造っていきたい」と意欲的。日本語ガイドをつけた3時間ほどのツアーを想定しているという。
BC州、秋までに日本のGSAを選定、新たなタグラインも
ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)観光局は、4月末に日本事務所を閉鎖した。これについて、同局市場開発マネージャーのモニカ・リーク氏は「マーケテイングプランとブランディング戦略の見直しの一貫」と説明。今秋までには新たにGSAを選定し、日本での活動を再開することを明らかにした。
BC州では新しいブランディングのタグラインとして「Super, Natural British Colombia」を設定。自然のなかの都市、ロッキー、スキー、アウトドア・アドベンチャーなどのテーマにそったプロモーションを展開していく方針だ。リーク氏は「旅行者の感情に訴えかけるようなアプローチを進めていき、他のデスティネーションとの差別化をはかっていきたい」と話す。
バンクーバー直行便が実現した関西市場については、チームカナダのメンバーとしてプロモーションを強化していくと強調。旅行会社との関係を重視し、需要喚起に努めていく。また、今年秋の「フォーカス・ジャパン」は大阪で開催されるため、「旅行会社との関係構築にはいい機会になる」と期待を語った。