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アクセスランキング、1位はルフトのGDS有料化、流通コスト削減

[総評] 今週1位は、ルフトハンザ・グループが、GDSを利用してグループ4社の航空券を予約、発券した場合に1回あたり16ユーロの「サーチャージ」を徴収することを決めた記事でした。あまりに唐突な発表でしたので、多くの方が戸惑っていると思われます。

 航空会社とGDSの関係は、航空会社がCRSを立ち上げたところから始まったにも関わらず、現在はテクノロジーの進化なども相まって一筋縄とはいえない状況にあります。その端的な例として、アメリカン航空(AA)が元々は自社のCRSであったセーバーに対して訴訟を起こしたケースがあります。

 すでに和解していますが、簡単にいえばGDSの高いセグメントフィーが負担となり、GDS側が旅行会社に対してその収益からインセンティブが支払われるのが不満、ということだったと記憶しています。また、いくら魅力的なプロダクトを航空会社側が開発しても、GDS上で情報を発信できない、という問題点を指摘する声も聞きます。

 国際航空運送協会(IATA)の前事務総長がGDSを「ヒル」と呼んだこともあったようですが、今回のルフトハンザ・グループの決定も同じ構図でしょう。

 実際の商品である航空輸送サービスを生産しているのは我々なのに儲けが外に逃げていく、という気持ちや、それをどうにかしたいという流れは理解できます。それを回避するために、IATAが主導して新しい流通規格「NDC(New Distribution Capability)」を開発するというのもごく自然です。

 ルフトハンザ・グループによると、すでにスイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)がNDCを使用した新しい予約方法をテストしており、年内にはルフトハンザ・ドイツ航空(LH)にも拡大するそうで、それは一つの潮流として今後加速していく可能性が考えられます。

 今回の件で残念なのは、お客様の目からすれば、GDSに依存する旅行会社のサービスが自動的に値上がりするということです。「直接買うよりも高い、手数料は別に取られるのになぜか」というお客様の疑問があったとして、それに対して「弊社はGDSというものを使っておりまして…」などと説明しなければならないのではないか、という懸念が拭えません。

 旅行会社向けの新サイトを作り、そこではサーチャージなしでグループの航空券だけでなくコードシェア便も手配できるようになるということですので、その利便性がどの程度のものかによりますが、今提供されているサービスがすべてカバーされることはないはずです。

 結局のところ、お客様がそういったサービスを望むならそこへの対価を求めるべき、という常套句に落ち着くのかもしれません。しかしそれにしても、お客様にご提供する選択肢は多ければ多いほど良いのかというと、そうでもないでしょう。

 人によるかもしれませんが、安く購入したければ直接どうぞ、16ユーロが惜しければ少し不便ですがこちら、フルサービスならばこれ、という状況は、個人的には面倒臭さを感じてしまいます。

 旅行会社の視点でいえば、どこをどう取ってもまったくありがたくない制度がこうも簡単に導入されることに無力感を覚えます。しかし、一方では例えばIATAのNDCが本格化し、手数料のかからない新予約システムができた時に、自社システムへの誘導を目的としてセグメントフィーよりは低額のコミッションを支払うような動きもありえます。

 いずれにしても最終的に流れを決めるのはお客様です。お客様にそっぽを向かれてはどのような理屈も意味をなしません。逆にいえば、お客様にどれだけご評価いただくかが、将来的にもサプライヤーにとって無視できない存在として生き残るための鍵となるように思われます。(松本)

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(2015年6月第2週:6月6日0時~6月12日18時)
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