3000名の訪中団で観光振興、二階氏「日中関係の新時代へ」

  • 2015年5月17日

(左から)中国国家観光局駐日本代表処首席代表の張西龍氏、駐日中国大使の程永華氏、衆議院議員の二階俊博氏、観光庁長官の久保成人氏 日中観光文化交流団はは5月15日に記者会見を開催し、交流団の事業概要の詳細を発表した。2014年11月に上海でおこなわれた、国土交通大臣の太田昭宏氏と中国国家旅游局局長の李金早氏の会談では、2015年から2年間、日中間の観光交流拡大に向けた取り組みを具体化することに合意しており、今回の交流団も合意に基づくもの。洋画家の絹谷幸二氏を団長に、民間団体を中心に3000名が中国に訪問する。

衆議院議員の二階俊博氏  会見で交流団の発案者である衆議院議員の二階俊博氏は「日中関係でお互いに新しい時代を一歩踏み出していこう、そういう決意でこの計画がここまで進んできた」と振り返った。その上で「(訪中を)実現できるということは、私は一つの前進だと思っている。懸命の努力をこの期間におこない、二国の距離がもっと縮まり、良い結果を納められるよう努力をしていきたい」語った。

 同氏によると、47都道府県全てから集まった参加者3000名以上が中国を訪問する予定。知事や副知事約10名も参加予定で、国会議員などからも参加を希望する声が挙がっているという。また、日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏は業界誌の取材に応え、交流団の実施を発表後、中国から各地地方観光局が来日してセミナーなどをやる機会が増えており「雰囲気が変わってきた」と説明。日本の旅行会社からも中国の販売が調子が良いという話が出てきているといい、「交流団が中国復活のトリガーになれば」と期待を示した。

 こうした動きに対し、駐日中国大使の程永華氏は「訪中に対して中国側としても心から歓迎し、さまざまな面で力を合わせて(交流団を)成功に導きたい」と意欲を述べた。加えて、訪日中国人は増加しているが、訪中する日本人は減少していることから「双方向の民衆の交流を今後増やしていきたい。3000人の訪中は(関係改善の)ひとつの大きなきっかけになれば」と語った。

 観光庁長官の久保成人氏によると、1月から3月の訪日中国人の累計は前年比93.2%増の92万3500人。一方「アウトバウンドは依然として厳しい状況」であるとし、交流団をきっかけとした訪中日本人の増加に強い期待を示した。

 加えて、中国国家観光局駐日本代表処首席代表の張西龍氏は、中国では2015年を「シルクロード観光年」を位置づけてアピールしていると紹介。シルクロード周辺の各地方自治区のインフラの整備や環境改善、ガイドのレベル向上、バスや関連会社の安全意識の向上などさまざまな努力をしているところだという。

 日中観光文化交流団は日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会(日観振)の3団体が主催しており、5月22日から24日まで中国を訪問。23日にはメインイベントとして、北京の人民大会堂で日中観光交流の夕べを開催し、日本側3000名とスタッフを含む中国側約500名が相互交流をおこなう予定だ。

 また、22日には日本貿易振興機構(JETRO)による対日投資セミナーや、日本政府観光局(JNTO)主催の中国の旅行会社向けの訪日商談会を実施。コシノジュンコ中国進出30周年記念した日中ファッション・観光・文化交流会をJNTOと中国対外文化交流協会の主催で開催する。

 翌23日には在中日本大使館がYokoso Nippon!と題し、日本観光文化交流の促進と日本食のピーアールイベントを開催。日中の自治体のトップが地方創生をテーマに観光シンポジウムも実施する。24日には訪問団の一部が北京、大連、貴陽、河北、上海、天津、広州をそれぞれ視察。。このほか、23日、24日はJNTOが訪日個人旅行のプロモーションとして、一般消費者向けにビジット・ジャパンFITトラベルフェアを開催する。