箱根、噴火警報で火口付近に立入規制、他地域は通常営業継続

 気象庁は5月6日、火山活動が活発化する箱根の大涌谷園地を中心とした半径約300メートルの地域について、噴火警戒レベルをレベル1の「平常」からレベル2の「火口周辺規制」に引き上げた。同庁によれば箱根地域では、4月26日から大涌谷付近を震源とする火山性地震が増加しており、5月5日には箱根町湯本で震度1の地震が3回発生。また、大涌谷の温泉では蒸気が勢いよく噴出する光景が確認されていた。なお、立ち入りが規制された火口周辺以外では観光や生活には影響がなく、7日午前の時点でホテルなどの観光関連施設や交通機関は通常通りの営業を実施。同町では風評被害による観光業への影響を懸念している。

 警報の発出に伴い箱根町では、今後の火山活動の活発化が予想されることから火口周辺地域への立入規制を実施。箱根ロープウェイの全線運休、県道734号線の大涌谷三差路から大涌谷方面への通行禁止 、姥子/大涌谷間の自然探勝歩道の閉鎖をおこなった。なお、これらの規制に先立ち4日には、大涌谷自然研究路とハイキングコースの一部区間を閉鎖している。

 同町では箱根を訪れる観光客に対し、今回の措置は限られた地域への立ち入りを規制するもので、箱根のその他の地域には規制がおよばないことをウェブサイトなどを通じてアピール。「町や関係機関からの関連情報に十分留意し、箱根観光を満喫していただきたい」とメッセージを発信している。箱根町観光協会も、規制地域以外の観光関連施設や交通機関などは平常通り営業しており、住民も通常の生活を送っていることを強調している。

 箱根温泉旅館協同組合によれば、ゴールデンウィーク期間中のキャンセルは「ほぼ見られなかった」とのこと。ただし、今後の予約については少数のキャンセルが発生しており、増加の可能性も考えられるという。

 観光庁の気象庁のレベル引き上げを受け、6日付で周知依頼のための事務連絡を日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)宛に発出。会員企業各社に正確な情報の収集と、適正な情報発信に務めるよう要請している。両団体ともに7日午前の時点で問い合わせなどの電話はなく、今後は情報収集に務めるとしている。

 昨年12月に箱根町との間で、同町の観光振興に関する包括的連携協定を締結したJTBグループによれば、7日午前の時点で一般消費者からの問い合わせが複数あったものの、ツアーなどは予定通り催行。予約のキャンセルもほとんど見られていないという。

 なお、箱根町によれば、噴火警戒レベルがレベル3の「入山規制」に引き上げられ、規制対象地域が半径700メートルにまで拡大されたとしても、現在おこなっている通行止めなどの措置で、充分にカバーすることが可能という。