エチオピア航空が就航、アフリカ直行便復活-増便や羽田線に意欲
エチオピア航空(ET)は4月22日、成田/アディスアベバ線に週3便で就航した。同社が日本路線を開設するのは今回が初めて。現在はエジプト航空(MS)が日本線を運休しているため、成田/アディスアベバ線はアフリカへの唯一の定期便となる。同社は翌23日に都内で記者説明会を開催し、来日した同社最高経営責任者(CEO)のテウォルデ・ゲブレマリアム氏が挨拶。「20年もの間、どうすれば日本に就航できるかを考えていた。昨日の初便には感激した」と喜びを語るとともに、今後の増便や羽田線の就航にも意欲を示した。
テウォルデ氏は、同社が現在、東アジア方面については北京、上海、広州、香港線をデイリー運航、仁川線を香港経由で週4便運航していることを説明。その上で、「世界第3位の経済大国である日本が欠けていることを、長い間懸念していた」と語った。また、早期に成田線を増便したい考えを示し、デイリー化についても「市場の状況を精査した上で、是非実現させたい」と意欲を見せた。
あわせて将来的には、羽田線の就航も希望していることを説明。発着枠の獲得に向け、国土交通省に申請を済ませたことを明らかにし、「スロットが空くことを心待ちにしている。我々も羽田を利用できれば嬉しい」と述べた。なお、同社は既に同じスターアライアンスに属する全日空(NH)とコードシェアを開始しており、羽田にはNHが運航するバンコク線で乗り入れている状態。そのほか、成田/香港線でもNHとのコードシェアを実施しているため、実質はデイリーで東京/アディスアベバ間を運航していることになる。
NHとの協力体制についてテウォルデ氏は、コードシェアの実施やマイレージプログラムの連携などをおこなっていることを強調。「日本の利用者へのメリットは大きい」と語った。2025年を目途にNHがアフリカ線の開設を計画していることについては、「必要があればサポートしたい」とした。
そのほかには、4月25日にノンストップ化したアディスアベバ/サンパウロ線についても言及。日本市場向けには、観光および商用に加えて、日系ブラジル人の里帰りなどでの活用を促したい考えを示した。また、テウォルデ氏はエチオピア観光協会の理事も務めていることから、「政府は観光への注力を優先項目に挙げている」と強調。ETもウェブサイト上で旅行商品の販売に取り組んでいることをアピールした。
この日は、日本とアフリカの政財界の関係者を招き、就航記念レセプションも開催。テウォルデ氏のほかET日本支社長のメサイ・S・メンギスツ氏、国土交通副大臣の西村明宏氏、衆議院議員で日本アフリカ連合友好議員連盟会長の逢沢一郎氏らが挨拶し、今後の日本とアフリカの交流拡大に対する期待を示した。
なお、成田線の使用機材は全270席のボーイングB787-8型機で、ETによれば初便の搭乗率は、アディスアベバ発については80%台後半を記録。多くがエチオピア人で、商用の利用者に加えて、150名近い観光客が搭乗した。一方、成田発は4割程度にとどまり、そのほとんどが日本人観光客。クラブツーリズムやユーラシア旅行社などがツアーを催行した。ちなみに同路線は香港経由運航するため、香港/アディスアベバ間のみの利用者も一定数いたという。ETでは引き続き、アフリカの49都市にネットワーク展開していることや、一方で昨年にエボラ出血熱が流行した国々には就航していないことなどを強調して、利用者の拡大をはかる方針。
テウォルデ氏は、今後は日本からアフリカへの投資増により、ビジネス需要が増加すると見られることなどから、利用者における日本人とアフリカ人の比率、ビジネス需要とレジャー需要の比率は、ともに「最終的には半々になる」との見解を示した。ETはアフリカ大陸の広範囲に路線展開していることから、アフリカ人留学生の日本への渡航や、在日公館に勤務するアフリカ人の親族の訪問などの需要も獲得したいという。
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