奈良県、春日大社式年造替と冬のキャンペーンをアピール-商談会も
奈良県は4月20日、都内で奈良県観光キャンペーンの説明会とワークショップ、トップセールスのためのレセプションを開催した。同県では2015年からおこなわれる春日大社第六十次式年造替を核とし、「1300年のこころ、見つけました」と銘打ったキャンペーンを展開しているところ。今回は冬のプロモーションとともに、式年造替特別プランをアピールした。奈良県知事の荒井正吾氏はレセプションで登壇し、「観光は地方創世の大きな起爆剤」と述べた上で、「我々が迫力を持って売り込みに行かなければ、市場が反応しない」と積極的なセールス活動に意気込みを示した。
奈良県が都内で市町村共同のプロモーションを実施するのは今年で3年目。奈良県観光局長の福井義尚氏は、今まで市町村や観光業者それぞれで情報を訴求してきたが「(観光キャンペーンで)奈良県、県内の市町村や社寺、観光資源のある人々が一同に介して(情報を)発信する機会にしようと取り組んできた」と説明。また、奈良県知事公室審議官兼観光局次長兼まちづくり推進局次長の中西康博氏によると、集約した情報が提供されるため旅行会社からの反応も良いという。
今回のイベントでは、奈良県が特に冬の閑散期の誘客をはかるため、2013年から展開中の「奈良うまし冬めぐり」キャンペーンを紹介。旅行会社に対し、16年1月から3月の企画コンテンツをアピールし、商品造成を訴えた。中西氏によると、初回は発表したプランに対し500名の集客だったが、昨年は1万人規模まで成長。15年からは夏の閑散期の集客をはかる「奈良うまし夏めぐり」もおこなっている。
西川氏は「奈良には素材が沢山あるが、素材を魅力のあるものとしてしっかりとコンテンツ化し、提案していかないと伝わりにくい」と指摘。キャンペーンの成果として「夏は閑散期ではなくなってきており、冬についても徐々に通常の観光シーズンに(訪問者数が)近づいてきている」と語り「次の冬には通常レベルになるのでは」と期待を示した。
また、昨年からはイベントのスケジュールを紹介したガイドブックを作成しており、第2弾としてこのほど15年10月から16年3月までの秋冬版を作成。奈良の昼夜MAPを作成し、夜遅くまで営業している飲食店なども紹介しているという。今後もこうした取り組みを継続し、働きかけをおこなう方針だ。
今年の奈良 うまし冬めぐりではコンテンツとして社寺の特別参拝プランを14企画用意。新たに世界遺産の元興寺の極楽堂での特別参拝と座禅体験プラン、橿原神宮で内拝殿へ長い廻廊をめぐっての特別昇殿参拝プランを設けた。このほか、体験型イベントとして若草山焼き行事の特別観覧を添乗員付きツアー向けに用意したほか、オプショナルプラン用に木簡型の1日フリー乗車券を設定。奈良交通とタイアップで定期観光バス4コースなども設けた。
また、説明会では春日大社第六十次式年造替記念奉祝行事実行委員会事務局部長の宇堂清治氏が、奉祝行事に伴うプランを紹介。春日大社では20年に1度、本殿などの社殿を建て替える式年造替が実施されており、今回は旅行会社に対し、個人、団体向けプランとして9プランを提案。例えば10月17日、18日には修理に使う檜皮や新しい本殿に敷き詰める砂を、千人行列とともに奉納し、御仮殿の特別参拝と組み合わせたプランを1000名限定で用意した。
プランを商品化するためのエントリーは5月18日まで、奈良県ビジターズビューローの奈良うまし冬めぐり実行委員会事務局で担当。特別企画のため数に限りがあるという。