羽田米国線、条件付きのシアトル線維持にDLとHAが反論、AAは賛同
デルタ航空(DL)とハワイアン航空、アメリカン航空(AA)はこのほど、米国運輸省(DOT)が発表したDLの羽田/シアトル線維持の仮决定について、返答の文書を提出した。
同路線は冬ダイヤでほぼ運休していたことから、AAとHAがDLの発着枠を没収し、再配分するようDOTに要請。その後、DOTは再配分の是非を検討するため、同枠の利用を希望する航空会社から運航計画を募集し、AAがロサンゼルス線、HAがコナ線を申請し、DLは自社便の維持を訴えた。これに対し、DOTは通年でのデイリー運航と四半期ごとのレポート提出を条件に、DLのシアトル線維持を仮決定。DLが条件を遵守しなかった場合に備え、AAの羽田/ロサンゼルス線を「バックアップキャリア」として選定していた。
DOTの仮决定に対し、HAとDLは反論の文書を提出。DLはシアトル線維持の仮决定については強く賛成するが、365日運航をしなければいけないという条件に対しては「勝手で気まぐれ」であると主張した。最初に羽田/シアトル線が配分された際は、初の羽田/米国本土線であることや多くの西部都市への乗り継ぎが可能なこと、羽田への路線が地理的に多様であることが重要視され、365日運航するべきということは求められていなかったと説明。もともと、今回の再配分の検討はDLの大幅な減便に対しておこなったものであって、新たに設定された365日運航しなければならないという条件は目的に対し「合理的なつながり」が一切ないとした。
加えて、過去にブラジル線で同様の長期運休があった際、再配分の見直しがおこなわれなかったことや、バックアップキャリアとして選定されたAAへの条件が異なっている点についても言及。詳しい説明がなされず過去の事例とは別の対応をおこなうことや、全く同じ発着枠の配分に対し、AAには休眠状態を避けるための通常の「90日ルール」のみを適用することは、根拠のある意思決定としては「道理に反している」とした。
このほか、天候の問題や機材のメンテナンスなどによるフライトのキャンセルやリスケジュールもあり、今回の条件によりデイリー運航を最重要事項とすることで、安全性が損なわれる可能性があると指摘した。
また、DLは代替案の一例として、90日以上発着枠を使用しなかった場合休眠状態とみなし、発着枠をDOTに返上するという通常の条件に加え、15日連続で発着枠を使用しなかった場合に条件を設けることを提案。これにより大幅な季節運休を防ぐことが可能で、DOTの最大の目的である米国の公益につながると訴えた。
HAは今回の仮決定は、米国の公益や経済的影響を考慮すれば、HAのコナ線を選定するべきであると主張。DLのシアトル線は市場が小さく、他の運休した羽田線に比べてもロードファクターが低いため、乗継需要が大幅に増加する見込みはないこと、AAのロサンゼルス線は羽田/ロサンゼルス間では3路線目であることから減便が予想され、米国の公益を拡大させることはできないと指摘した。
さらに、HAはDOTがホノルルとコナの地理的な位置を誤解していると強調。シアトル線維持を決定する際に、羽田/ハワイ間で4路線目となるコナに就航するよりも、シアトル線を運航する方が公益につながるとDOTが明記したことについて触れ、ホノルルとコナは地理的に170マイル以上離れており、ニューヨークとボストンと同様の距離であると説明した。
一方、AAはロサンゼルス線に再配分されることが好ましかったとしつつも、今回の仮決定をサポートすると発表。バックアップキャリアの有効期限は2年間で、DLの発着枠がAAに再配分された際は60日以内に運航を開始しなければならないという点についても、「準備はいつでもできている」と意欲を示した。
また、もしDLが今回の条件の緩和を要求したとしても、DOTは条件を再検討するべきでないとの考えを明記。DLの過去の実績からも、貴重な羽田発着枠を最小限にしか使用しておらず、今回の条件は顧客を守るためのもので、DOTは厳格に実施するべきと強調した。
このほか、AAは国際線を運航する米国航空会社の中で、唯一羽田線を運航していない点についても言及。DOTにはAAの羽田線を確保するため、日本政府と正式に新しい発着枠について交渉することを要求した。