JATA、マイナンバー制度セミナー開催、リスク回避呼びかけ

  • 2015年4月7日

 日本旅行業協会(JATA)は4月7日、2016年1月から新たに導入される社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)に関する緊急企画として「マイナンバー制度対策セミナー -マイナンバー法の施行に向けて知っておくべきこと、準備すべきこと-」を開催した。講師として招かれた野村総合研究所制度戦略研究室長の梅屋真一郎氏は、制度の概要や、導入開始までに企業がおこなうべき準備について説明した上で、「安全管理を怠ると、企業にとっては大きなリスクとなる」と強調した。セミナーにはJATA会員企業から約200名が参加した。

野村総合研究所の梅屋真一郎氏 同制度は、住民票を有する全ての住民に対して、居住地の市町村長が1人につき1つの共通番号を指定し、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報などを管理するもの。今年の10月には個人番号の通知が開始される。

 梅屋氏は同制度について「非常に良くできた制度」と述べ、合理性や効率性を評価した一方、企業は全従業員や扶養家族、支払先などの番号収集や管理などが必要になることを説明。保管義務のある書類や帳票類も多岐にわたるとし、「かなりの事務を民間が担うことになる」と述べた。また、情報漏えいなどの安全管理不備があった場合には、直接の違反者だけでなく、その事業主体も罰するなど、厳しい罰則が設けられていることを強調。「会社自体が罪に問われ、本業にダイレクトに影響する」と釘を刺した。

 企業が取るべき準備としては、全従業員を対象として番号取得手続を進めるために、「まずは(10月に届く)番号カードを無くさないよう、社員に周知する」としたほか、大量の事務処理を進めるための要員確保や体制整備を早期に開始することを提案。公認会計士や税理士などの専門家、システムベンダーなどに相談して対応を進めるべきとし、「消費税率の変更がない今年のうちに、企業は最優先で準備に取り組まなくてはいけない」と指摘した。

 導入後の実務上の対応としては、内閣府の「特定個人情報保護委員会」が2014年12月に公表したガイドラインを遵守するよう要請。「法令違反などについてわかやすく説明しており、具体例も多い」と伝えるとともに、「企業の経営者には、総論だけでも読んでいただきたい」と呼びかけた。

 そのほか、本誌の取材に応じた梅屋氏は、旅行会社が取るべき対応として「日本在住の外国人スタッフも同制度を正しく理解するよう、カードを紛失してはいけないことなどを周知徹底する必要がある」と強調。また、短期労働者が多い会社では、その分事務処理も煩雑化することなどを説明した。