アクセスランキング、1位はチュニジア事件-北陸新幹線も

[総評] 今週は、現地時間3月18日にチュニジアで武装集団が観光客を襲撃した事件について、観光庁側の対応をお伝えした記事が1位になりました。日本人3名を含め多くの方が亡くなり、また傷付いたという痛ましいもので、人生で最も楽しい時間の一つであるはずの旅行中に惨事に見舞われてしまった皆様には、旅行業界の一員として心よりご冥福をお祈りするばかりで言葉もありません。

 先々週の当欄では、2位にニジェールへの受注型企画旅行の記事がランクインし、外務省の渡航情報のあり方について考えを述べました。邦人に危害が加わることを避けたい外務省と、旅行者に安全な旅行を提供したい旅行会社とが協力し、より実効的なリスク管理の方法を探るべきではないかという主張でしたが、今回の事件を受けて考えを修正しなければならないと感じています。

 まず、既存の渡航情報のみを基準としてしまえば、それ自体がリスクとなることは明らかです。軍の警備まで要請して強行した「退避勧告」地域へのツアーの参加者が無事に帰国し、「十分注意」地域への訪問がこのような結果に繋がったことは、それが偶然であったとしても因果なものです。「十分注意」だったのに、と言ってもお客様に被害が出た後では意味などないのです。

 もちろん、「十分注意」以上の全てを避けるべきという極論も成り立つかもしれません。しかし、例えば欧米ではほとんどの国で何の渡航情報も発出されていないものの、これらの国で同種の事件が絶対に起きないと考えるほうが不自然でしょう。スポット情報を含めて対応すれば、下手をするとお客様をお連れする場所がなくなります。

 渡航情報がどうであっても何かが起きる可能性はあり、旅行会社は自らそれに対処しなければならないことが前提、ここまでは先々週も考えました。そして、外務省と旅行業界との連携による新たなリスク対応が望ましいと書いたのですが、今回の事件の一報に触れ、心のどこかで「十分注意」の地域であればと思っていたことを自覚しました。ある程度安全な地域であれば、周到な準備によりリスクをほぼコントロールすることは可能と考えていたのです。

 しかし、今回のエクスカーションにおける準備が十分であったかは別にして、今回は地域の特性によって発生したリスクというよりも、どこででも発生し得る事件なのだという印象を強く受けています。世界中の空をひっきりなしに飛行機が飛び回る世の中であり、地理的な条件によるリスク管理には限界があるのではないかと感じられます。

 考えを修正といいつつ正しいロジックを全く見い出せなくなっていますが、とはいえやはり「危ないところに行くべきでない、危ないことはすべきでない」という命題が普遍的になり、なんでもかんでも自粛となることは避けたいところです。

 そもそも、日本国内でもテロは起きるかもしれないと指摘されているわけで、それでも人々はシェルターに閉じこもらずに日々の生活を続けています。それは、それが必要だからでしょう。

 リスクを完全に回避するのは不可能であり、その中で人は生きていく。そうして考えると、旅行が必要なものかどうか、その点が一つのポイントになるかもしれません。

 なお、今週2位は3月14日の北陸新幹線開業の記事でした。週のはじめはこの明るいニュースが1位を飾るだろうと心づもりをしていたのですが、残念な形で予想が外れてしまいました。

 個人的に北陸は、学生の頃に友人たちと共に訪れてのんびりと気ままに周遊した思い出の地です。美味しいお酒と新鮮な魚介類、そして千里浜なぎさドライブウェイなどで体感可能な雄大な自然、すべてが懐かしく思われます。

 当時は、金はないが時間と体力はあるというやつで安い夜行バスに乗り、到着当日は公園で酒盛りをしながら寝ていたと記憶していますが、それを一昔といえるほどの時間が経過した今、新しい新幹線で快適に現地を訪れてみるのも大変魅力的だと感じているところです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年3月第3週:3月13日0時~3月20日18時)
第1位
チュニジア襲撃事件、2社のツアー参加者被害に-観光庁が通達発出(15/03/19)

第2位
北陸新幹線が開業、旅行会社もツアー開始-需要取込活発化(15/03/15)

第3位
海外旅行業況、欧州が続落、オセアニア伸長-3ヶ月後は微増へ(15/03/18)

第4位
ニュージーランド航空、17年冬の1日2便化めざす-羽田就航視野も(15/03/16)

第5位
カリスマ添乗員・平田進也氏が本出版、「人を虜にする極意」(15/03/16)

第6位
チュニジアで日本人含む観光客襲撃、各所が情報収集に奔走(15/03/19)

第7位
エチオピア航空、サンパウロ線ノンストップ化、日系人需要に期待(15/03/15)

第8位
中国南方航空、夏ダイヤで関空線大幅増便、広州線は1日2便に(15/03/15)

第9位
デルタ、マイル特典利用しやすく、一部は1万マイルから(15/03/16)

第10位
京都でILTM JAPAN第3回、48セラー・55バイヤー参加-16年は2割増へ(15/03/17)

第11位
募集型企画旅行のウェイティング基準を明確に、観光庁が事務連絡(15/03/19)

第12位
フィンエアー、アメニティもマリメッコに、3種類(15/03/17)

第13位
鳥取県、宿泊が半額になる「プレミアム宿泊券」、地方創生交付金活用で(15/03/15)

第14位
フォトニュース:エールフランス、ファーストクラス刷新、羽田夜便に(15/03/17)

第15位
「新結合」でイノベーション、異業種とのコラボも-JATA経営フォーラム(15/03/19)

第16位
訃報、ダイヤモンドクリフリゾート総支配人のビラット・アタピラック氏(15/03/13)

第17位
キャセイ、香港週末弾丸旅行で割引運賃、往復2.1万円-KA羽田線利用も(15/03/18)

第18位
JTB、1月海外は1.1%減、団体は宗教や企業など伸長(15/03/16)

第19位
ジェットスターJ、関空/香港線増便、7月18日から最大週5便(15/03/16)

第20位
西武HDと台湾鉄路が包括提携、相互交流強化-現地駐在員も(15/03/16)