観光庁、ユニバーサルツーリズムでシンポ、各地の活動状況紹介
観光庁は3月12日、高齢者や障害者などを含むすべての人々が旅行を楽しむことのできる「ユニバーサルツーリズム」の環境整備に向け、都内で業界関係者など約150人を招き「ユニバーサルツーリズムに対応した観光地づくりシンポジウム バリアフリー観光地づくりで集客増」を開催した。同庁によれば、このようなシンポジウムをイベントを主催するのは今回が初めて。
主催者を代表して挨拶した観光庁審議官の蛯名邦晴氏は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とした観光立国について言及した上で、「ハンデキャップのある人も楽しめる観光地として、情報を発信することが今後は大事になる」と強調。各地でユニバーサルツーリズム支援のための組織が設立され活動を開始していることを説明するとともに、今後の環境整備の推進に期待を示した。
同庁は2012年度から「ユニバーサルツーリズム促進事業」を開始し、2014年度は3700万円の予算を計上。JTB総合研究所が受託事業者となり、業務をおこなっている。2015年度については3500万円の予算を確保しており、これまでの取り組みに対する効果検証などをおこなうとともに、新たに乳幼児連れの旅行に関しても調査や検討を開始。乳幼児連れ旅行のモデルの構築に向けた活動を進め、ユニバーサルツーリズムのさらなる普及促進をはかるとしている。
この日は同事業に取り組む、秋田県旅館ホテル生活衛生同業組合、広島県まちづくり推進協議会、NPO法人自立支援センターおおいたの担当者が活動状況を報告した。そのほか、日本バリアフリー観光推進機構と伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの理事長を務める中村元氏が基調講演をおこない、「集客増」の視点からバリアフリー観光について解説。障害者や高齢者を「非常に大きなマーケット」と捉えて、前向きにバリアフリーに取り組むことの重要性を示した説いた。