トルコ、重点化地域を南西部沿岸に、リゾートなど魅力訴求
トルコの観光プロモーションをおこなうトルコ共和国大使館文化広報参事官室は3月10日、都内でメディア向けの昼食会を開催し、リゾート地のボドルムなどを擁するエーゲ海地方南部や、アンタルヤなどを擁する地中海地方西部など、南西部沿岸地域の魅力をアピールした。同室では昨年夏以降、日本市場における重点地域としてエーゲ海地方南部と南東アナトリア地方を挙げていたが、南東アナトリア地方については情勢が不安定なシリアと国境を接しており、外務省が一部地域に渡航延期勧告などを発出していることから方針を変更した。
会の冒頭で挨拶した日本・韓国・台湾担当ディレクターのアリ・カラクシュ氏によれば、エーゲ海地方南部と地中海地方西部は昨年にトルコを訪れた外国人旅行者約3700万人のうち、約2000万人が訪問した人気エリア。同氏は、「観光客向けのインフラが整っている、完成度の高いデスティネーション」と評価し、イスタンブールやカッパドキアに続く新たな需要の拡大に意欲を示した。
カラクシュ氏は、外務省が渡航延期勧告などを発出している南東アナトリア地方については、「断腸の思いでプロモーションを一時中断している」と説明。一方で、シリアなどで台頭しているイスラム過激派組織ISIL(イラクとレバントのイスラム国)がトルコ国内では活動をおこなっていないことや、トルコ政府が1万人に上るブラックリストを作成して犯罪分子の流入を阻止していることなどを強調し、理解を求めた。
そのほか、国境地帯など一部の地域を除けば、南東アナトリア地方でも平穏な生活が営まれていることについて述べ、「観光にはまったく影響がなく、受入態勢にも変わりはない」と説明。「イスラム国がトルコに対して脅威を与えられないことは、徐々に理解されつつあると思う」と主張し、日本人旅行者が安心してトルコを訪れることを希望した。
カラクシュ氏は日本人旅行者数の現況について、「2月に入ってからは、確かに訪問者数に落ち込みが見られる」と述べたものの、「我々がトルコ観光の安全性をアピールすることで、5月以降は回復に転じたい」と強調。年間の日本人訪問者数については、昨年の17万550人を上回ることを目標に掲げた。なお、トルコ共和国文化観光省の発表によると、2015年1月の日本人訪問者数は前年比9.0%増の1万229人となっている。
この日は、マーケティング担当の大森正光氏が南西部沿岸地域に関するプレゼンテーションをおこない、多くの歴史的建造物や美しい海、バリエーション豊かな食材を生かした郷土料理などをアピール。日本における知名度は依然として低いものの、英国やロシアなどヨーロッパを中心に旅行者が増加していることを報告し、「他国の旅行者は既にその魅力を理解している。治安の良さについても、旅行者数の増加が裏打ちしている」と語った。